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『…どーしよっか。』
「おまえ本当に焦ってる?」
岩場でバタバタと足を海水へと付けるハルに、アイスはたこ焼きを頬張りながら突っ込む。
何とも呑気なハルはひとりこうして眈々と考えこんでいた。
「ハルさーん!」
『ウェンディ?』
遠くからの呼び声に顔をあげれば、嬉しそうに駆け寄ってくるウェンディ。どうしたのか尋ねれば、彼女はハルの腕を掴み引っ張る。
『…っ!ウェンディ?』
「来てください!ジェラールさんが、私たちに力を貸してくださるそうです!」
『ジェラール…?』
「ぅわぁあああっ!!!!!」
『……ナツ、大丈夫なの?』
連れて来られた場所では、身体中に魔法陣を刻み、痛みと戦うナツの姿。ウェンディに先ほどまでのきらきらとした表情はなく、レビィと涙を流していた。
「貴女が水竜ね?」
『……はじめまして。』
ぽつりと挨拶をするハルに、魔水晶を手にした女性はふっと笑う。
「私は元悪魔の心臓の七眷属だったウルティア。今は魔女の罪(クリムソルシエール)として、闇ギルドを潰してまわってるの。」
『で、ナツに何したの?』
「あら、心配しないで?了承を得ての行為よ?」
首をかしげるハルに、第二魔法源についての説明を始める。
どの魔導士にもある潜在能力で、いわゆる"二つ目の器"のようなものと。それを解放すれば、使える魔力量が増え、魔力の威力が大幅に増幅するというものだと。
『ならそれあたしにもお願い!』
「ハル!?」
驚くルーシィにハルはにっと笑ってみせる。
『強くなるならやるしかないじゃん!』
「目の前でこんなに苦しんでるナツを見て、よく即決できるわね…。」
呆れるルーシィにウルティアも笑いながら、ハルの身体へと魔法陣を描きはじめた。
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