光に導かれて | ナノ

01

 








『……変な騎士は?』


ウソップとサンジを寝かせ甲板へ出てきたハルは、何故か落ち込むナミに小首をかしげる。

ハルを見た瞬間、パアッと目を輝かせ駆け寄るナミになおさらわけがわからない。



「そうね!ハルがいれば大丈夫よね!」

『え…っと、ナミ?』

「よーし!約束の場所へ急ぐわよ!」

『(……みんなのもとへ戻ろうかと思ってたけど、まずはメリー号を安全な場所に…)』


考え直したハルはどこに行くのか尋ねようとするが、どこからか聞こえる声にかきけされた。



「ナミさーん!ハルさーん!!」

「コニス!?」


たった今コニスたちが造ったミルキーロードが、メリー号の進むミルキーロードに合流する。

船の上にはコニスとパガヤとスー、そして小さな女の子が乗っていた。






「このミルキーロードを渡れば直接白々海へと出られます!」


コニスの言葉にとりあえずメリー号の進路をうつす。コニスは自分からウソップやサンジの看病を買って出てくれ、相変わらず意味もなく謝るパガヤに苦笑するハルはちらっと少女に目をやった。




「ひ…っ!あ、あたいはシャンディアの戦士!!」

『…だから何?』

「…っ、だ…だから……っ!!」


―――ポン



唐突に頭に乗せられた手のひら。思っていたより小さく綺麗な手が優しく少女の頭を撫でる。

『シャンディアの小さな戦士、あんたの名前は?』

「あ…アイサ…」

『そう、あたしはハル。よろしくね、アイサ!』

「……っ…!」


ふわりと笑うハルに幼いアイサも思わず見惚れてしまう。けれど何故かナミとは馬が合わないのか、言い争う二人。




『とりあえず白々海に出たらあたしはゾロたちのもとへ戻ろうと思う。』

「ちょっ、なんでわざわざ!?」

もちろん慌てるナミにハルは笑顔で告げる。


『大丈夫、島の外までどうしようなんてアイツも思わない。』

「アイツって?」

きょとんとするアイサは何の話しかわからないのか、じっとハルを見上げる。しかし彼女は笑うことなくただ短い答えを教えた。


『エネル』

「ひ…っ!?」


途端息をのむアイサにハルは眉をしかめ尋ねる。



「今一気にいくつもの声が消えた…っ!ホントだよ!?あたい声が聞こえるんだ!!」

『心綱(マントラ)…?』


ハルの呟きにこくりとうなずくアイサ。しかし次の瞬間、目をまるくしてハルを見上げる。



「ハルの声…、聞こえない」

「え…!?」

「そんなわけないでしょ!?」

「聞こえないんだ!」


パガヤやナミが驚くなか、ハル本人はにやりと微笑み立ち上がった。

『ならあたしの声はアイツにも聞こえてないってことか』

「あんたどこまで前向きなのよ!?」


ぎゃあぎゃあと騒ぐナミに苦笑しながらも、甲板で縮こまるアイサの動きを見る。



『飛び込んだって空鮫に食べられて終わり。あんたなんで森に行きたいの?』

「……っ!だってみんなが、みんなの声が消えていくのを…っ、黙って聞いてなんていらんないよ!!」

『…ま、行ってどうすんのかって話だけど…。行動力のあるバカは好き!』

「あんたがそれよ…っ」


ナミのツッコミも虚しく、ハルはアイサの頭をがしがしと撫でながらけらけらと笑っていた。













 

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