光に導かれて | ナノ

01

 




『……ん〜』

「どうだ?ハル」


唸るハルは足を上下に動かす。以前よりスムーズに動くようになった様子に、チョッパーは少し嬉しそうに尋ねた。

『うん…、だいぶ治ってきた。ありがとう、チョッパー!』

「おう!」



イノセンスをいつも治してくれるのはコムイだったが、今ここに彼はいない。幸いハルのイノセンスは寄生型のため、自然治癒力が働いて徐々に痛みはおさまっていった。


「放って置いただけで治んのか?」

『うん…、説明してなかったけど…あたしの武器は血液として体内に流れてて……。脚力や腕力が強化されて…、複数相手ならべつの戦い方もあるんだけど…』



まだ包帯を巻いたままの左足をさすりながら話すハルの言葉を、真剣に聞く仲間たちに少しくすぐったい気持ちになる。


「私に向けて放った紅い弾ね…」

『あ…、えと…あのときは…っ』

「ふふっ…かまわないわ。続けて…」

微笑むロビンに頭をさげながらハルは続ける。




『とりあえずあたしと武器は寄生型だから身体との繋がりが強くて自己修復力が備わってるの…!だから、放っとけば…っ』

「でも…今回どうしてそんなことになったのよ」

「確かにそうだ!いつそんな怪我したんだ?」


ナミの疑問にウソップが便乗し尋ねると、ハルは苦笑し誤魔化そうとするが、それを許さない。



『あはは…、わかんな…』

「ハル!誤魔化すなよ!仲間に話さねぇで、もし何かあったらどうすんだ!!」

「おれも知っときてぇ!船医だし、それ以前に仲間だからな!!」


ルフィとチョッパーの訴えに逃げることを諦めたハルはため息をつくと、言いづらそうに言葉を紡ぐ。



『……身体との繋がりが強いって言ったじゃん…、だから…自身に溜まった疲労はそのまま武器に反映されるんだ。寄生型イノセンスは使いすぎると、すぐ疲れて…っでも!ちゃんと治るから…』

「疲労……」

「…ハルに疲労が溜まったときといえば」

「まさか…」

「バナナワニ…?」

「……彼女の反応を見るとそうみたいね」

『……なっ…』



慌てて顔を隠すハルに一味は表情を厳しくすると、彼女に詰め寄った。




「なんで言わねぇんだ!ハル!!」

「確かにあの後ちゃんと泳げてもなかったな…っ!」

「疲れてんのに檻まで壊そうとしたのかよ!!」

「あんた、顔色が悪いって言ったときも嘘ついて誤魔化したわね!!」

「そのイノセンスってやつ使って広場の反乱を止めようともしてたぞ!」

「時計台も勝手に上ってっただろ!!」

「その体で私とも争ったわよね…」

『〜…っ』


次々と出てくる声にあたふたと慌てる。



『えと…、だから…………え?』

「なんだ…?」


見上げるハルの視界に何かが落ちてきた。それに気づいたクルーたちも空を見上げそれを確認する。



「雨?……違うな、雹か?」

「なんか違ェぞ?」

『……木屑?』



と、次の瞬間メリー号を大きな影が覆った。










 

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