02
結局溺れるルフィとチョッパーを助ける一味に、ウェイバーを貸してしまったことを謝るパガヤ。
彼の話しによると、どうやらウェイバーの船体は非常に軽くちょっとした波にも舵をとられてしまうため、初めて乗るには難易度が高すぎるらしい。
しかし…
「って、乗っとる〜〜!!?」
「サイコー!!v」
沖にはあっという間にウェイバーを乗りこなすナミの姿があり、ウソップを始め全員目を見開いて驚いていた。
「ナミさ〜〜ん!君がサイコー!!v」
「なんと!すごいですね!信じられません!!」
ナミが乗れて悔しいのかルフィがぎゃあぎゃあ騒ぎ出す。ハルは空島料理を早く食べたいため、ウェイバーに興味はなくうずうずしていた。
ウェイバーをもう少し楽しむというナミを置いて、一味はコニスとパガヤの家へと移動を始めた。
その途中には雲を切り取る工場のようなものを見つけパガヤに説明を受ける。
難しい説明にルフィやウソップが首をかしげるなか、ハルは空島料理に心を浮かせていた。
「どうぞこちらへ」
『……空島料理v』
「おまえずっとそればっかり考えてただろ…」
「おれが腕によりをかけて作るよーっv」
頬を緩めるハルを見て苦笑するゾロをよそに、サンジは目をハートにいつものように踊り出す。
『ふかふかだ…』
いち早くソファーに座るルフィやウソップに続いて、嬉しそうなハルがやっぱりふかふかなソファーに腰かける。
「寄れ」
『……あっちに座りなよ』
「うっせぇ…」
ハルの横にどしっと座るゾロはどく様子もなくよそを向く。自分が移動するのも嫌だった彼女はため息をつき、そこにおさまることにした。
「ところで早速なんだけどお嬢さん。さっき言ってた貝(ダイヤル)のことも少し教えてくれる?」
ロビンの言葉にコニスは嫌な顔せずにこりと微笑み返事をする。
「そうですねぇ…、どう説明しましょうか」
コニスはあるものを手にするとルフィに手渡した。
「なんだこれ、貝じゃねぇか」
「はい。それに向かって何か喋ってみてください!」
ルフィは言われた通り貝に向かって叫んだ。
「ウソップのアホーっ!」
「イヤ、何で何で何でおれだよ!!」
「ふふ…、じゃあその貝の殻頂をおしてみてください」
「殻頂ってなんだ?」
「殻のてっぺんだろ…」
そう言ってルフィの代わりにウソップが殻頂をおすと……
<ウソップのアホーっ!>
<イヤ、何で何で何でおれだよ!!>
「!!ウソップが貝にバカにされた!」
「イヤ、おまえの声だろ!!」
初めて見たそれにハルは目をまるくした。もちろんゾロたちも驚いたようで、貝に視線を向ける。
「その貝が貝(ダイヤル)?」
「はい。これは音貝(トーンダイヤル)。音を録音し再生する習性がある、"白白海"産の貝殻です。」
『へぇ……』
コニスが説明を続けるなかハルはきょろきょろと部屋を見渡した。部屋のなかにも貝はいくつも置かれており、コニスに問えば一つ一つ丁寧に教えてくれる。
『貝(ダイヤル)…おもしろいかも』
「おもしろいよな!おれもそう思うぞ!!」
興奮ぎみのチョッパーに微笑みかけるハルの横では、イビキをかいて眠るゾロの姿があった。
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