02
プレハブ前にはすでに何十人もの海兵が入り口を覆っていた。
『…遅かった。』
とりあえず彼らの背後にある家の屋根へと着地する。しかし、どうして彼らはここまで来ているのに、屋内の海賊を確保しに行かないのか。さらによく見ると、さすがのハルにでも分かるくらいの大事件を起こした一味を捕まえに来たにしては、随分彼らは軽装備ではないのか。
ふと何かひらめいたハルは、無防備なままに彼らの背後へ飛び降りる。
「…っ、桜花舞姫!」
突然現れた少女にはっとする海兵。その声に辺りもざわざわと騒ぎ始めた。
『………。攻撃は?』
「……は?」
きょとんと首をかしげるハルに、つられてぽかんと口を開く海兵。
「やめておいたほうがいいですよ。」
『…誰。』
海兵たちを割って寄ってくるピンクの頭をした男海兵。
「きっと勝てっこないです。」
『………不快。』
「わ…っ!?」
彼の言葉にむっとするハルは、迷うことなくピンク頭に向け地を踏み切る。よろっとしながらも、ハルの攻撃を避ける男。かまわずその頭を掴むと、そのまま地面へ抑えつけた。
「…っ!」
「曹長!!」
先ほどとは違う意味で騒つく周囲。
ピンク頭はあまりの状況にもかかわらず、両手を挙げて声を出して笑う。
「だから言ったじゃないですか、勝てっこないって。」
『……あんた、誰。』
彼の言葉の意を理解したハルは、笑うピンク頭をじっと見下ろす。
「ハル!!」
『…ゾロ。』
向こうから走ってくるゾロの姿。子どもたちのおかげで、どうにかたどり着いた様子。ハルはピンク頭から手を離すと、無防備のまま立ち上がった。
「おまえ…っ!?」
それに慌てるのはゾロのみで、素早く抜刀すると周囲の海兵を叩っ斬る。
「おまえらハルに何しやがった!?」
『ちょっと!』
ハルの声も届かず、何人もの海兵を相手にするゾロ。彼の目の前に現れるひとつの影。ククリ刀を手にゾロへ挑む海兵だが、彼は少しの隙も見せない。
「何やってんだ!!」
ククリ刀を弾くと、切っ先を相手へ向けたまま、ハルへと怒鳴る。
『何って…、ちょっと……いらってしただけ。』
「はぁ!?」
『そんな怒んなくてもいいだろ。別に負けてないし。』
むすっとしてピンク頭を見ると、今までの場所にはおらず、何故かルフィとやり合っていた様子。もちろん、その場に捕らえられているが。
『………友だち?』
ルフィの説明により、ピンク頭はコビーと名乗り、ルフィやゾロの大切な友だちだったことがわかった。ククリ刀の男もその時できた知り合い…だそうだ。
「おれはてっきりおまえが海軍に捕らえられそうになってんのかと…。」
『ゾロって時々、あたしのこと弱い者として扱うよね。』
「…ちがっ、おれは!」
『何が違うの。』
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