02
「長鼻くん!?」
『……?』
窓の外でにっと笑う仮面をつけた男。窓から中へひょいと入ってくると、辺りを警戒しながら二人の近くの椅子へと座る。
「どういうこと!?何故貴方がここにいるの?どうやって乗り込んだの!?」
「ふははははは。そう質問攻めにされたんでは、答えようがないな!」
仮面の男は冷静で、とりあえず落ち着くよう言った。
「そうだ!コーヒーでも入れようか。」
「ふざけないで!!」
ポットに手を伸ばそうとする男を制するロビンは、冷静ではいられないよう。
「一体…っ」
「初めまして。私は狙撃の王様、そげキングだ。いろいろ話すと長くなるが、君と…ハルくんを助けに来た。」
『…あたしも?』
きょとんとするハルに、仮面の男…そげキングはこくりとうなずく。
「私だけではない。この列車内で今、サンジくんとフランキーというチンピラが暴れている。私はその隙をついてここへ来た。」
『……フランキー』
ギリっと小さな拳を握りしめるハルに、そげキングは何故か慌てたように声をかけた。
「ハルくん!彼は今ロビンくんや君のために戦ってくれているんだ!」
『けどあいつに…フランキーにあたしの大切な仲間が傷つけられたんだ!!黙ってなんていられない!!』
「…っ。」
声を荒げて立ち上がる少女に、そげキングは黙り込む。ロビンは今にも飛び出しそうなハルの肩を掴み、そげキングの目の前に共に座った。
「それで?」
「あ、ああ…っ。それだけではない。ルフィくんたちももう一隻の海列車でこの線路を追いかけて来ている。何やら大人数を引き連れてね。」
そげキングの話の続きに息を飲むロビン。
『そげキングは…何者なの?』
ぽつりとこぼれる純粋な疑問。
「私はウソップくんの親友だ!」
高らかに笑いながら答えるそげキングは、何故か自慢気だ。
『ウソップの…?』
「彼に頼まれてこうして彼の代わりに君たちを助けに来たんだ!」
『…そっか。ウソップ…怪我ひどいもんね。』
しゅんとする少女にぎょっとするそげキング。慌てて言葉を取り繕う。
「心配ない!彼はだいぶ良くなってきている!しかし、君たちのことを聞き、無理にでも助けに行こうとしていたから、私が無理やり止めたのだ!」
『そっか。ありがとう、そげキング。』
微笑みながらお礼を言うハル。そげキングは困ったようにこめかみを掻いていた。
「そうだ!さっき窓の外からここへ来る時に覗いたんだが、この車両の後ろにいる四人組…正直ヤバいやつらだ。」
『四人組…。』
「サンジくんが来る前に、君を救出出来れば、それに越したことはないのだ。」
ロビンの呼吸の変化に気づいたハルは、静かに彼女の背中をなでる。
「さぁ、逃げよう!私と共に!」
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