01
―――チュンチュン
「…ん……っ…」
窓から射し込む光に眉をしかめる。もぞもぞと体をよじり寝返りをうった。
「………っ…!?」
―――ガバッ
勢いよく起き上がり辺りを見まわすと、どうやら誰かの家らしく生活感のある部屋だった。
「……ハル…ハルは!?」
途端に騒ぎ出す彼に気づいた家の主らしき人影が部屋の扉からひょこっと顔を出した。
「あ、起きた!おまえ大丈夫か?」
人懐っこい笑顔を浮かべて駆け寄ってくる金目の少年に素早く身構える。するときょとんと首をかしげ、さも不思議そうに訊ねた。
「おまえ、女?」
「………っ…!?」
思いもよらない問いにリクは拳を握りしめ金目の少年に向かって伸ばした。
「起きたんですね」
―――ピタッ
その拳は金目の少年の頬に触れるか触れないかのところで止まっており、それを見た新たな人物は「おやおや」と笑うだけ。穏やかな笑顔が印象的な眼鏡の青年はリクのいるベッドに近づくと額に手をあてる。
ビクッと肩を震わすリクを見て眼鏡の青年はにこっと微笑むと宥めるように彼の頭を撫で始めた。
「大丈夫ですよ…僕たちは貴方がたをどうしようだなんて思ってませんから」
「そうだゾ!もう一人のヤツも隣の部屋で寝てるしッ」
金目の少年の言葉にほっと肩の力を抜くリクを見て二人は安心したかのように笑う。
「貴方がたが僕の家の前で倒れているのを見て驚きましたよ、そっくりなんですもんv」
そうだ…。
おれらは母様に……。
「どうした?」
「……え…」
「泣きそうだぞ…」
金目の少年に言われて気づく。いつの間にか目の辺りが熱くなって今にも滴がこぼれ落ちそうだった。
「……拾ってくれたのか?」
「やだなぁ、拾っただなんて。」
依然として笑みを絶やさない青年に対してもリクは笑うことはなくじっと見やっていた。