『あ…雪じゃん。』



透に本家に帰ると嘘をつき外をぶらぶらしていると空から雪が舞い降りてきた。

今日寒かったからなぁなんて思いながら歩いていると公園にたどり着く。来たことのない公園、辺りを見回すとなんと見知った顔がベンチに座っていた。




『はりぃ!』


声をかけるがはとりは前を歩く女性に見惚れ聞こえていないようだ。よく見えないがその人たちの会話ではどうもそのうちの誰かが結婚するなどと話している。



『はりぃ、結婚したいの?』

「……っ…!?」


よほど驚いたのか肩をびくっと揺らしてなつめを見るはとり。



「……なつめか」

『さっきも声かけたんだけどなんかハリィ女の人に見惚れてたからさぁ…』


なつめはからかうために声をかけたのにはとりは「ちょっと知り合いでな…」と呟く。いつもと様子の違うはとりに首を傾げ不思議そうに見つめるなつめ。





一時の間なつめもはとりも黙ったまま時間が流れていった。




「…なつめ」
『Σえっ…何?』


突然声をかけられ今度はなつめがびくっと肩を揺らした。



「…雪が溶けると何になると思う?」

『……雪?』

はとりの意外な質問にきょとんとするなつめに「あぁ…」と短く返事をする。



『そうだなぁ…』




数秒悩んだなつめはぱっと顔をあげると立ち上がりどんよりと雪雲に覆われた空を見上げた。


『こんなこと言ったらハリィ笑っちゃうかも。』

一人でくすっと微笑むなつめに答えを求めると、くるっと振り向いていつもの笑顔を浮かべる。







『春になる!!』


「……っ……」



なつめの答えにふっと微笑むはとりに気づかず彼女は話し続ける。


『今はすっごく寒いけど雪が溶けたら必ず春は来るもんなぁ。』



『不思議だね!』と笑うなつめの頭をくしゃっと撫でると「…そうだな」と微笑んだ。


そこへ







「はとりさん!コーヒーで…あれ?」

『えっ…透君!?なんで…』

コーヒーを片手に駆けて来た透に思わずぎょっとするなつめ。そんな彼女に悪気もないが容赦もない透が尋ねた。


「なつめさん、挨拶は…?」

『お…終わった!!透君は何してたの?』


素早く話題をそらそうとするなつめを疑うこともなく、透は苦笑しながらさっきあったことを話す。


「はとりさんにぶつかってしまって…ι」

『…もしかしてハリィバレたの?』

「……………」



はとりの返事がないことを肯定と受け取ったなつめは、けらけらと笑い始めたのだった。




『ぶはは…っ!!…いてッ』







君は同じことを言う







 


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