「トリック、オア、トリート!」


遙の部屋にて。
今年のハロウィンは金曜日でしかも明日から三連休ということもあって、家に泊まることになった私。
両手を広げて言えば、遙はあまり表情は変わらないけど不意をつかれたような顔をしてしばらく固まった。

トリック、オア、トリート。
反復する。最近日本でもハロウィンが活発になってきた。
クリスマスもバレンタインも、真実のお話を知らないで楽しめるのは日本人のいいところだと思う。楽しいことは好きだ。
にしても遙が、ぴくりとも反応してくれないのが少し悲しい。


「遙、まさか知らないなんてことはないよね?ハロウィンだよ、お菓子パーティーするためにさっきたくさん買ったじゃん!」
「・・・目の前に買い込んだ菓子のいっぱい入った袋があるのに、俺に向かってそう発言する久遠の頭がわいてるのかとおも、」
「わいてないわ!!」


彼女に向かってなんとも失礼なやつである。
いいもんね、少し言ってみたかっただけだし。ぶーくれて袋からお菓子を取り出す。
遙の好みと私の好みは全然違う。ハロウィンなのにせんべいとか買う遙の気が知れない。
だからこそ筋肉がついてるのにあんな細いんだ。もう少し肉をつけるべきだ。
座ったとき少しズボンの上に脂肪が乗ってしまう自分のお腹だけれど、今日はそんなこと気にしてられん!
夜が明けるまで、遙とお菓子パーティーをするのだから!

気を取り直して、取り出したお菓子を広げながら遙の名を呼ぶ。
もそもそと近くに移動してきた遙は、ちょこんと私の肩に顎を乗せた。


「よっし!食べよう遙!食べて食べて食べまくろう!」
「・・・そんなことしたら、今までの減量が無駄になるぞ」
「それは言わない約束!それに減量って言わないで、ダイエットって言って」
「どっちでも同じだ」
「若干ニュアンスが違うじゃん〜」


よし、まずはチョコレートから!
お腹を気にして最近食べれてなかった甘いものが眼下に広がってヨダレが出そうだ。
大きく口を開けてチョコレートをかじれば、大好きな甘さが口内を駆け巡る。


「・・・っ、し、しあわせ・・・!」


自分でも少しオーバーなリアクションだとは思うけど、甘いものを我慢する日々はそれなりに辛かったのだ。
体重をかけてくる遙の存在なんて気にせずにチョコレートをむさぼる。


「久遠」


ふいに、肩に顎を置いていた遙がその体制のまま、ぐっと顔を近づけてきた。
顔じゃない、唇だ。唇が近づいてるぞ、ちょっと!!


「はる、むっ!」
「・・・・」


効果音であらわすなら、パクリとでも音が鳴りそうな勢いで遙の唇が私の唇を食べた。・・・食べた。
そのまま舌を入れてきた遙は口の中で少しそれを動かして、それから私の唇をペロリと舐めて離れていく。

いつの間にか、私の手からチョコレートは奪われていて、目の前には少し口角を上げ悪戯に微笑む遙の顔があった。


「お菓子より、こっちのほうがいい」
「・・・わたしはお菓子のほうが、」
「駄目」
「っん」


HAPPY HELLOWEEN!!
それは、チョコレートよりも甘い
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