なんだか、すごく久しぶりな気がした。
コンビニであっちんに声をかけられた時はそれはもう心臓が飛び出るかと思ったし、思わず青峰が居るか居ないか確認しちゃったりしたけど、・・・
居ないことに安心しながらも、何故か不満を感じたことも否めなかった。
だって、だって、いつもなら絶対にみんなと同じように私のところに来て、「ついでにこれも買え」とか言って、勝手にかごの中に商品を入れてきたに違いない。
それが、ないのが、ものすごく、寂しくて、イライラした。
そして視線をめぐらせた先に、・・・いるじゃん!

戸惑ったような顔をしている青峰を引っ張って、ストリートコートまでやってきた。
まだなにも言うことなんて決まってないし、ただ衝動で「話がある」なんて言っちゃって、私もどうしようもない馬鹿だ。
だけど、このままじゃ絶対にダメだ。
まだ自分の気持ちも曖昧だけど、だけど、それでも。

・・・ここでなら、造ちゃんとの思い出の場所でなら、なんだか背中を押されてる気分で、イケる気がした。


「あー、その・・・悪かった」
「え?」


いざ声を出そうと息を吸ったところで、青峰のいつもより低い声が耳をかすめて、そっちの方向を向いてしまう。目を合わせる勇気なんてなかったのに。
紺色の相貌がまっすぐに私を見ていて、思わず逸らしそうになったけど、なんとか堪えた。頬に熱が集まってる。


「急に、変なことして、変なこと言って」
「や、だいじょうぶ・・・」


いつもみたいに、冗談で返せないのは、それだけ空気が真剣だってことだ。
口元を引き結んで懸命に青峰を見返せば、彼は小さく笑った。


「やっぱお前の前じゃなんも隠せねーわ」
「は?どういう意味、・・・」
「オレは、お前が好きだ」
「っ・・・」


息を呑んだ。
笑いながら、でも真剣な表情で、青峰は言い切った。
返事すらまともに返せない私と違って、青峰は。・・・二度も。

大きな手が伸びてきて、髪の毛をいつもと同じようにぐちゃぐちゃにされた。
いつもとただひとつ違うのは、私が平常心じゃないってところだ。どくどくどくどく、心臓が、うるさい。


「わっ、わ、たしは!その・・・」
「わかんねーなら今はまだそれでいい。けど、オレはもうこんなイジイジすんのはやめにするぜ」
「ぅえっ?え、わ!」


重ねられた手に、酷い声を出してしまった。
そんな私に「相変わらず女っぽくねー」と笑って、青峰は力強く手を握る。


「ぜってー、オレのもんにする」
「・・・・・・も、ものじゃないし・・・」


回らない思考で言えたのは、そんなくだらない言葉だった。

×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -