最近は、好きだっていう気持ちがなくても付き合ってみて、好きになったら改まってお付き合い 違うと感じたらごめんなさいしてお別れっていうのもあるらしいじゃん。
最初はそれでもいいと思ったよ。だって彼のことは嫌いじゃないしむしろ好きだし天使だし、紳士だし守りたくなるときもあれば頼もしいときもあるしとにかく天使だし。くどいって?ごめん謝るから最後まで聞いてよ親友でしょ?
でもね、そんなことして、もし友達としての好きを越えられなかった場合・・・私は、彼を傷つけちゃうことになるじゃん。
そんなのいやじゃん。死んでもいやじゃん。
かといって、彼の気持ちをずばっとお断りする勇気もなくて、そしたらきっと悲しそうな顔で笑うんだもん。
なんでそんなことわかるのかって?わかるよ、わかっちゃうんだもん。
長い間一緒に居たわけじゃないけど、彼はそういう人だって、一緒に過ごしてたらわかる。
告白されて何も思わなかったわけじゃない。
ドキドキしたし、状況が状況だっただけに本当かどうかも疑ったけど・・・え?どんな状況だったかって?そんなのいいじゃん、とにかくロマンチックなんてもんじゃなかったの!
でもそんな嘘はつかないってことくらいも、わかってるからさ・・・どうしよう、ちな、私どうしたらいいと思う?


電話なんてめったによこしてこない久遠が、珍しくしおらしい声で相談事だと言ったときは青峰君か緑間君が何かやらかしたのかと思ったけど・・・まさか、黒子くんだったとは。
前髪を切りそろえてた途中で出しっぱなしの手鏡に、虚をつかれたような顔をしたあたしの顔が映っている。

そうかあ、黒子くんかあ。
まあ、納得はしてる。よくうちのクラスに顔を出してたから、なんとなくだけどそうなのかなとは思っていた。
自分のことになると少し鈍感な久遠は、いつも笑顔で子テツ子テツ言ってたけれど。


「どうしたらっって・・・なんであたしに・・・」
《ちな経験豊富そうだし》
「偏見だわそれ、少しビターな雰囲気してるからって」
《えーー!違うの?》
「・・・まあ、あんたよりは豊富かもね」


ほら!と大きな声で言う久遠に耳元で怒鳴らないでと呟けば、うなだれたような声が聞こえた。そうとう悩んでるらしい。


「・・・助言はするけど、あくまでも助言だからね。最終的に全部決めるのは久遠、あんただから」
《それでもいいのー。こんなの初めてでどうしたらいいのかわかんなすぎて泣ける・・・》


初めてという言葉に少し驚いた。意外だ。
平凡の頂点にいてむしろ平凡ではなくなったような久遠だけど、人当たりはいいからそれなりに告白とかはされてると思っていた。

黒子くん、初めてだって、よかったね。


「まあ・・・告白されてその人が気になっちゃうのは当たり前なの。イコール好きってわけじゃない」
《うん》
「まず友達からはじめましょうって場合もあるけどあんた既に友達だしね」
《それだよそれ!あああああもおおおおお・・・!》
「うるさい。・・・あんたが最初に言ってたとおり、友達としての好き以上になれない場合だってあるんだし・・・今は、保留とか、そういう期間を設けてみればいいんじゃないってあたしは思うけど」
《保留・・・・かあ・・・・・》


静かになる電話口。
なにかブツブツ呟いていた久遠だったけど、そうだねと力強く言ったあと、ありがとうという言葉とともに電話は一方的に切られた。なんだあいつ。

まあ、なにはともあれ月曜日が楽しみだ。

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