大きな音がして、重かった瞼を開けた。
ぼーっとする頭で窓の外を見る。この季節、七時にもなると既に辺りは真っ暗だ。
眠たい目をこすって、小さく頭を振る。

今どこらへんっスか、と問えば、大袈裟に肩を揺らして久遠ちゃんが振り向いた。


「え、あ、りょた君・・・お、お、起きてたの?」
「おはようございます、黄瀬君。・・・永遠に眠っててもよかったのに」
「聞こえてるっスからね黒子っち!!」


なんだかいつも以上に理不尽かつ毒舌な黒子っちだ。けど好き(変な意味ではない、断じて無い)
忙しなく手を動かして前髪を触る久遠ちゃんがいつもと違う風に見えて、首を傾げる。
両隣で眠るデカブツを押しのけて前の座席に腕を置き彼女の顔を覗き込めば、その頬は心なしか、赤く染まっていた。


「久遠ちゃん、なんか顔ぶふっ!?」
「言うな、みなまで言うな!!」
「な、な、な、!い、痛いっス・・・!!」
「黄瀬君が悪いです」
「心の底から疑問!!!何故!!?」
「うるさいです」
「り ふ じん!!!」


なんでオレがこんな目に・・・!
ぎゃいぎゃい騒いでいると、助手席からうるさいぞ黄瀬、と赤司っちの鋭い声。
マジでなんなのこのオレの扱いの酷さ。軽く泣けるけど。ていうか泣いていいっスか?

征くん起きてたの?という久遠ちゃんの声は少し震えていた。
少しの間を空け、赤司っちは後ろを振り向く。その口元は微妙ながらに弧を描いていて、え、なんだこの空気意味不明なんスけど・・・!


「オレが寝てたと思うか?」


意地悪そうな笑みを浮かべた赤司っちの言葉に、後ろから見える久遠ちゃんの肩がわなわなと震えを増していく。

なんなんスか、いったいなにが起こってんの?
問いかけようと黒子っちの肩を叩く。なんですかと言いながら振り返った黒子っちの顔も、赤司っちと同じような悪戯っこのようなそれで。

マジでオレが寝てる間に何が起こってんの!!?


「子テツ!時と場所を考えて!!!」
「すみません、僕こう見えてロマンチストなんです」
「どこがよ!!?」
「雰囲気だけはロマンチックだったが」
「征くん黙っててそれ以上喋らないでええええ!!!」


騒ぎ始めた久遠ちゃんに、なんなのだよと顔をしかめながら起きた緑間っち。
目をこすってる紫っち。
未だに爆睡してる青峰っち(よく寝れるっスね・・・)
起きた二人も状況がわかっておらず、ひたすらに首をかしげている。

なにが起こってんの〜?とオレを振り返った紫っちにこっちが聞きたいっスよと返しながら、真っ赤になって自身の膝に顔を埋める久遠ちゃんを見る。


「好きな人に好きだと伝えることは、いけないことですか?」


空気が固まった。
唯一面白そうに笑ったままの赤司っち、アンタ、どんだけ図太い神経してんスか。

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