「っはー、楽しかったねえ」


来た時と同じところに座って、車が発進する。
征くんの召使いなのか知らないけど、かなりイケメンの運転手さんだ。アドレス聞いてもいいかな。なんていう冗談は、昼食の時みたくあちらこちらから非難の声が上がった。
いい加減泣くぞ、おい。

そして、車内。
昼食を終えた後もがんがんに滑りまくった青峰氏やりょた君、あっちんを筆頭にしてぐっすりと眠りこけている。あの珍太郎までもが私のお守りで疲れたのか、腕を組んで寝てしまっていた。
珍しい寝顔だ。写メることは、当然忘れていない。
これで当分珍太郎をからかう材料に困らない、しめしめ。

起きているのはあまり滑らなかった私と、子テツと、多分征くん(助手席に座ってるから見えないけど多分彼が寝るなんてことはないと思ってる)。
いびきでも聞こえてきそうなくらいに大きな口をあけて寝てる青峰氏の写メも、もちろん撮ることを忘れない。私って性格悪い。


「あまり滑ってないようでしたが・・・」
「やー、なんていうか、みんなを見てるだけで満足だよね」
「僕も、来てよかったと思います」
「ねー。一生の思い出だよね」
「はい」
「またどこか行きたいね」
「そうですね・・・あの、」


子テツ越しに外の景色を眺めていた私は、視線を彼に戻す。
大きな瞳に吸い込まれてしまうそうだ。
なに?と首を傾げると、子テツは引き結んだ口元をゆっくりと動かした。


「今度、・・・どこか、行きませんか?」
「え?ああ、うん、行こうねってさっき・・・」
「違います。・・・二人で、どこか」
「・・・ええ?え、あ、うん、」


どきん、

心臓が少し騒がしい。
な、なんだこれ?

ふわふわと漂っていた子テツの手が、私の手に重なった。温かい。じゃ、なく!


「こ、てつ?あの・・・」
「久遠さん」
「はい!」


思わず背筋を伸ばして、真正面から彼の目を見つめ返す。
子テツはそんな私の反応にクスリと笑って、そして


「好きです」


慈しむような、優しくて、淡く儚い声で、言った。

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