うわあ、と思わず感嘆の声が漏れた。
隣に居る子テツもほう、とため息を漏らす。天気に恵まれたスキー場は、きらきらと雪を反射して輝いて見えた。眩しいくらいに。


「つま先から入れるんだ・・・そう」


経験はあるよ、と微笑んだ征くんが、スキー板の装着の仕方を教えてくれた。
私は初心者中の初心者だから、ストックも手になんとかスキー板を装着。
見ただけでできちゃうりょた君とか、他にも同伴で来てるのは運動神経のいい人ばかりだ。
ストック?そんなもの邪魔なのだよとつっぱねた珍太郎のその自信はどこから来るのか。
ちなみにスキーは私と征くんと子テツと珍太郎。
他の三人はどうせならスノーボードがいいとダダをこね、ボードを装着している。


「え?ちょっ!わ、わ、わ、」
「久遠さん!」
「久遠、膝を曲げてハの字にしろ!足を伸ばしたままだとどんどん滑るぞ」


何これめっちゃ滑る怖い怖い怖い!
手を伸ばしてくれた子テツを巻き込むわけにもいかず、かと言って征くんが助言してくれたこともすぐに実行できず、しりもちをついた。い、痛い。

しゃっと慣れた風に滑ってきた征くんに起こされ、私は白い息を吐く。


「む、むずかしいねスキーって」
「久遠はまず基本が出来てからだな」
「青峰氏たちは・・・なにあいつら。なんであんなにできるの」
「・・・まあ、もともとの運動神経がいいから」


また滑ってしまうのが怖くて征くんにしがみつく。
征くんはそんな私に少し笑って、ほら練習しようと手を引いてくれた。ごめん、まって足が重いんです。


「安心してください久遠さん。僕も初めてです・・・あれ、」
「こ、子テツが遠くなってく!子テツ後ろに滑ってる!征くん子テツ救出して!」
「・・・いいかい、ハの字になって止まっておくんだ」
「わわわわかった!」


征くんが私の腕を離して子テツのもとに滑って行く。
支えを失った体はまた勝手に下へ下へと滑っていってしまいそうになった。ちょっと、ハの字にしてるのに止まんないんだけど!若干焦り始めたとき、ぐいと誰かに腕を引かれる。

振り返れば、なにをしているのだよ、と呆れ顔の珍太郎。
助かったーと彼の腕にしがみつけば、近いと肩を押された。酷い。
青峰氏達を見てみる。思い思いに滑っている彼らは楽しげだ。私もあんなふうに滑ってみたい。


「全く・・・気をつけろ黒子」
「子テツー!無事?」
「はい。スキーって難しいですね」
「大丈夫だよ、私たちには征くんというインストラクターがついてるから!あと珍太郎も」
「何故勝手にオレを巻き込むのだよ!」
「え?ついててくれないの?」
「・・・危なっかしいから見ていられないだけだ」


んもうどこまでもツンデレなんだから。

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