「うーっす」


週末。
受験まっさかりの造ちゃんが我が部屋にやってきた。
久しぶり、と軽く手を振ってクッションを投げる。
もうちょっと優しく渡せねぇのかよという文句はスルーして、私はベッドから起き上がって電気カーペットの電源を入れた。


「さっみー」


クッションを抱え込んで自身の腕をさする造ちゃん。
遅くまで勉強してるのか、目の下にうっすらと隈ができている。


「いつでも造ちゃんはお疲れモードだね」
「あ?あー・・・まァな。部活してねぇぶん勉強に集中はしやすいけど」
「で、今日は何の用?」
「別に何にも。暇だったし息抜きだよ」
「あ、じゃあ私の課題やっつけるの手伝っ、」
「お前ここまできてオレに勉強させる気かァ?」
「すみません」


造ちゃんの手が伸びてきて、私の髪の毛をぐしゃぐしゃにする。
寝起きから整えてない髪の毛は、さらに酷いことになった。

ひっでェ寝癖。

笑う彼に造ちゃんがやったんでしょとむくれる。
けらけらと乾いた声で笑い止らない造ちゃんを睨んで、私はスマホを手に取った。

ブブブッ


「わっ!?」
「ナイスタイミング、ぶふっ」
「もーなんなの造ちゃんなんでそんなにツボ浅いの、勉強のしすぎじゃないの!」
「そうかもな、ふ、早く出ろよ電話だろそれ」
「マジでなんなの・・・はいもしもしこちら久遠」

《・・・こちら久遠って、なんなのお前、ぶっ・・・!》


青峰氏だった。
電話ではまた少し違う声だ。
不思議だなあと感じながら造ちゃんに青峰氏だよと告げる。


《誰かいんのか?》
「造ちゃん」
《げ・・・》
「げってなんだ青峰。ア?つーかなんで電話」
《うわっ!?虹村、さん・・・!あ、そうか確か幼馴染み・・・別に、なんとなく、です》


元気にしてんのかー、とぼやく造ちゃんにスマホを手渡す。
ココアとって来るね、と口パクで伝えて部屋を出た。


***


ココアを手に部屋に戻れば、なにやら意味深な笑みを浮かべる造ちゃんがいた。
カップを手渡して、スマホを奪う。なに?と訝しげな顔をして見せれば、造ちゃんはくっく、と喉の奥で笑った。


「これから青峰来るってよ」
「・・・は?」
「部活終わったし暇だってほざいてたから、誘ったらノリノリ」
「何言ってんの。何言ってんのマジで!?私まだパジャマだし髪の毛・・・!」
「お前が何言ってんの。オレの前ではズボラな姿丸出しのクセに」
「造ちゃんはいいの!馬鹿!もー着替え!五分出てって!」


はいはい、と最後まで口元に笑みを浮かべながら、部屋を出る造ちゃん。
別に今さらお前の裸見たってなんも思わねぇけどなーと言う彼の背中に、思い切りクッションを投げつけておいた。

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