「え?久遠ちん倒れたの?」


顔面蒼白になったさっちんが駆けてきたときは何があったのかと思ったけど、まさか、久遠ちんが。
自分を囲む女の子に笑顔を振りまいていた黄瀬ちんも、さっちんの一言で顔色を変えた。
大丈夫なんすか!?とすごい形相で彼女の肩を掴んでる。その時いい顔をしない女子がいたから、オレは無言で睨んでおいた。オレも黄瀬ちんもただ久遠ちんが心配なだけなのに、なんでこいつらは自分のことしか考えれないんだろう。
どうせ、黄瀬君はみんなのものなのにとかそんな意味不明なことでも考えてんだろーな。はあ、キモいキモい。


「で、それで、どうなったの?」
「うん・・・大分辛そうだったけど、ただの風邪だって、赤司君は言ってたけど・・・」
「あ、青峰っちや緑間っちは?」
「久遠ちゃんが倒れたの、体育の時みたいで、ほら体育って男女別でしょ?だから久遠ちゃんが倒れたって聞いたのも、ついさっきだったの」


休憩時間に足を運んだ峰ちん達のクラスで、一人でケータイをいじる千夏って子に久遠ちんの所在を聞いたところ、倒れたってことを知ったらしい。
驚いたように目を見開く峰ちんとミドチンの顔が思い浮かぶ。


「それ、黒ちんは知ってんの?」
「ううん、これから報告しようと思ってるところ・・・大丈夫なのかな、久遠ちゃん」


心から心配してるんだろう、さっちんの顔色はさっきから優れない。
こんなの久遠ちんが見たら、絶対苦笑いするんじゃねーの、さっちんの方が病気してるみたいだよって。
こほこほ咳しながら笑う久遠ちんを思い浮かべて、オレは少し笑った。


「じゃあ、私テツ君のところに報告に行ってくるね!」


駆けて行ったさっちんの背中を見送る。
お見舞いってやっぱりリンゴ必須っスかね?と悩む黄瀬ちんを見て、いつの間に久遠ちんはこんなにも皆から必要とされる存在になったんだろうと思いを馳せた。
そもそも彼女が倒れたからって、それをいちいち部員に知らせる必要なんてない。
久遠ちんはバスケ部元主将の幼馴染みってだけで、他にはなんにも関係ないんだから。

でも、それでも、


「じゃ、オレまいう棒持ってこっかなー」
「そんなの喉渇くっスよ!」
「えー美味しいのに?」
「割り勘してリンゴ買おうよ紫っち!」
「黄瀬ちん剥けるの?」
「うっ・・・」


模倣する人がいれば剥けると思うんだけどなー、と頭をかく黄瀬ちん。
コピーってそんな使い方していい訳・・・?

まあとにかく、弱ってる久遠ちんを見るのが楽しみかもー。

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