"オレと紫原と桃井は万引きされたと言っていた店に話をつけてくる。黒子と黄瀬は店付近の情報収集、緑間と・・・久遠は、青峰の様子を見てきてくれないか"


何故オレなのだよと心底嫌そうな顔をする珍太郎に、クラスが同じだからだと簡潔な答えを返した征くん。
その有無を言わさない雰囲気に、珍太郎は渋々ながらも頷いた。
うん、私も子テツや桃井さんの方が適任だと思うんだけどなぁ・・・なんて、言葉に出してしまっていたのか、征くんに「君は君が思ってる以上に青峰から信頼されてるんだよ」と微笑まれたものだから、仕方ない。
私も青峰氏のことは気になるし、わかったと頷いて珍太郎と二人青峰氏の家に向かった。

クマのストラップがポケットから顔を覗かせている。
隣を歩く珍太郎は、曇天を見上げて嫌な天気だな、と呟いた。


「うん、なんとなく気分も沈むよね」
「・・・ああ、これ以上悪い方向に事が進まなければいいが」
「征くんがそんなことさせるわけないって」
「まあ、それもそうだな」


少しだけ口角を上げて、珍太郎は眼鏡のブリッジを押し上げる。
珍太郎が笑みを見せるのは珍しい。そして恐ろしく美形。
そういやこいつも黙ってればイケメンだったなと私はしばらく珍太郎の端正な横顔に見入っていた。


「・・・なんなのだよ」
「え?あ、ごめん。いやだった?」
「嫌というわけではないが、・・・オレの顔になにかついているのか?」
「ううん、綺麗だなって思って見惚れてた」
「きっ・・・!?」


楸の目はおかしいのだよ!と真っ赤になる珍太郎。

いやいやおかしくなんてないよ、バスケ部は美男美女ばっかりだよ。
幼馴染みである造ちゃんを思い浮かべながら、笑う。
珍太郎の顔は依然赤いまま、せわしなく眼鏡を押し上げていた。焦りすぎじゃね。


「っ、楸もっ、・・・その、」
「んえ?」
「っ、・・・っ!、あ、あ、愛らしいと、思う・・・・のだよ・・・・・・」


最後の方はあまり聞き取れなかった。
けど、あいらしい?とか言うのは聞こえた。あ、愛らしいって・・・

可愛いとか言われるより数倍照れる・・・!
可愛いとかいう言葉すらまともに言われたことはないけど。悲しいことに。


「珍太郎、今日どうしたの?褒めてくれるなんてさ」
「べっ、別に・・・ただ本音を言っただけなのだよ」


ふい、と顔を反対側に逸らす珍太郎の耳はそれはもう真っ赤で、つられて熱を帯びる頬。
珍太郎がこっち向いてなくてよかった、今は少し恥ずかしいや。

私だって、女の子なんだし。

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