合宿先に到着した。
なんだか不機嫌な青峰っちから半ば逃げるように席を立つ。
あんな悪人面が何十分も隣にいたら、そりゃあ神経も磨り減るってもんだ。
近くにいた黒子っちに声を掛ければ、あろうことかスルーされた。
最近、バスケ部のオレに対する態度が冷たい気がしないでもない。・・・今に始まったことじゃないか。

黒子っちが、ある一点を見つめて固まった。
不思議に思って黒子っちの視線の先をたどる。


「ちょっとおおおおおおおおおお!!!?」
「うっせーぞ黄瀬ェ!!」


思わず叫んでしまったオレに、すかさず虹村先輩のヤキが入る。
じんじんと痛む頭を抑えながら、オレは緑間っちにもたれかかって眠る久遠ちゃんを唖然と見つめた。

ちょ、えぇ!?
なんスかこれ!?


「・・・緑間君、」
「! ああ、黒子か」
「ああ、黒子か・・・じゃないっスよ!なにしてんスかアンタ!」
「知らん!こいつがオレにもたれかかってきたのだよ!」
「なら早く起こしましょう僕のイグナイトで」
「それはキツすぎるのだよっ、・・・!オレに向けてイグナイトを構えるな!」


何故か緑間っちにイグナイトを構える黒子っち。
的確なツッコミを入れた緑間っちは、自身の肩にもたれかかる久遠ちゃんを揺さぶり起こした。


「おい楸、起きろ!」
「・・・んえー・・・?」
「目的地到着だ、早々に練習が始まる!」
「あと五分・・・」
「ここは自宅ではないのだよ!」
「・・・んー・・・」
「おい久遠てめぇシバかれてぇのか?あん?」
「おはようございます!!」


虹村先輩の登場で、起こすのに苦戦していた緑間っちの労力は無駄だとでもいうように一瞬で久遠ちゃんは目覚めた。
ぐ、と唇を噛む緑間っち。

そういえば、虹村先輩と久遠ちゃんは一体どういった関係なんだろう。
バスに乗る前に唖然とした。あれは、ただの知り合いなんて距離じゃない。

思うより先に、もう口は勝手に動いていた。


「先輩と久遠ちゃんって、どういった関係なんスか?カレカノ?」
「「は?」」


見事に重なった男と女の声が絶妙なハモり具合で、何故だろう、なんだか悔しい。

互いに顔を合わせて、そして同時に眉間にしわを寄せた。


「冗談でもやめろ黄瀬。コレはただの幼馴染みで妹みてぇな奴だよ」
「あ、そうなんスか・・・」
「造ちゃんが彼氏とか有り得なー。絶対DVされるよ」
「あ、それは有り得そうっスね「黄瀬?」すいません!!」


シバかれる前にバスから出ようとエナメルを持ち直せば、背後からガバっとたくましい腕が回ってきた。
え、ちょ、普通に痛ぇ。・・・って、青峰っち?


「よっしゃ早く行こうぜ黄瀬!おら楸てめぇもだぞ!」
「ちょっ・・・!青峰っち痛いっス!」
「はりきってんねー、青峰氏」
「ったりめぇだ!お前も初マネだろ、頑張ろうぜ!」
「・・・さっきまで不機嫌だったじゃないスか・・・?」
「なにしてるんですか黄瀬君。早く行きましょう」
「黒子っちまで!?」
「君達そんなに合宿大好きなの・・・?」


久遠ちゃんが首をかしげた。
オレも急にテンションを上げた二人が不思議でたまらない。

早くしろ、と赤司っちがオレ達を呼んでいる。
虹村先輩が「分かりやすい奴らだな、」と口角を上げた。

その先輩が呟いた言葉の真意は、オレには分からなかった。

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