久遠ちゃん!!

大きな声で名前を呼ばれて振り返れば、黄色い頭をした大きな犬が今にも飛び掛らんばかりに走って来てたから、思わず全力で避けてしまった。
隣ではちなが黄瀬君だ!と目を輝かせてる。黄瀬君じゃなくて黄瀬犬の間違いなんじゃないかな。
あれ、なんだか耳と尻尾が生えてるように見える。


「避けるなんて酷いっス!」
「いや大型犬が全力疾走で突進してきて耐えれる自信ないから、私」
「オレ犬じゃねーし!!」


そのわんちゃんネタやめてよーとかなりふて腐れた顔で唇を尖らすから、私は思わずはいはいと言いながら肩(頭は高すぎて届かない)を撫でていた。

で、用件はなに?
首をかしげて金色の瞳を見つめる。
面白くなさそうだった瞳は段々と嬉しそうな色に変わって、私が反応するよりも速いスピードで抱きつかれた。


「うわあっ!?なにっ!!」
「久遠ちゃん合宿の臨時マネで来るって聞いて、オレめっちゃ合宿が楽しみになったんスよ!!」
「わかった!うん!とりあえず離れて!苦しいこの駄犬が!」
「だからオレ犬じゃないっスけど今はどうでもいーや」


やっと離してくれたりょた君。
苦しかったー、とちなを見れば、恨みがましい目で睨まれた。怖い。
りょた君もそんなちなに気づいたのか、苦笑して「邪魔してすいませんっス」と謝った。


「んっとにバスケ部に大人気なんだから、久遠は」
「久遠ちゃんの友達?オレ黄瀬涼太!よろしくっス!」
「うん、知ってるよ。ファンだもん。あたしは佐藤千夏です」
「久遠ちゃんといると面白いっスよね!同じクラスで羨ましいっスーー!」
「まぁ、退屈はしないかな」


勝手に話を進める二人、自分のことを話されてる私は居心地が悪い。
でも嫌じゃないのは、きっといい風に思ってもらえてるから。


「まぁウザいけどね」
「ちな酷い!!?」
「ぶはっ!久遠ちゃんの友達もイイキャラしてるっスね!」


・・・きっと。

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