ウチの学校の校則はかなり厳しい。殊に風紀委員長、ティエリア・アーデ。こいつの厳しさは尋常じゃない。

「オニキス、君はこの学園の生徒としての自覚があるのか?規則は守れと何度も言っているはずだが。」

しかも何だかアタシ限定で厳しさが倍増ししてる気がする。ちょっと短めにスカート曲げてたりとか(スカート丈は膝上5cm)、ネクタイにファンデーションの粉ついてたりとか(化粧禁止)、そんな細かいことでアウト。

「規則ってのは破る為にあるんですー!」

「御託はいい。さっさと生徒手帳を出せ。」

恐ろしいくらい整った顔に、紅玉の瞳。何ていうか、黙っていても迫力がある。怯みつつも口を尖らせて反抗してみたが、ティエリアは表情一つ変えずに言い放つ。

何か、ムカつく。いつだったか友達に、逆にアンタに気があるんじゃない?とか言われたけど、それはない。絶対あり得ない。

「…あ。」

ポケットから生徒手帳を出そうとして、オニキスは動きを止めた。

「どうした?早くしろ。」

「えー…。あのですね、見逃してもらえたり…しませんかね…?」

校則違反が5回続けば、生徒指導部に反省文を5枚提出することになっている。今日ここで生徒手帳を取られたら、違反回数5回でもれなく罰則行きだ。こ、これは何としても死守しなければ…!

「なるほど。ここで俺に手帳を取られたら、君は罰則行きだったな。だが俺もそんなに甘くは無い。無理だ、と言ったら?」

「そこを何とか…!今日の帰り、フルーリー奢るから…!」





…で。

夕方五時現在、制服姿のアタシの横には、同じく制服姿でちゃっかりフルーリーを頬張るティエリアがいる訳で。

「ねぇ、学校帰りの飲食って、これ校則違反じゃないの?委員長。」

校則違反を見逃して貰えたのはいいが、何だか無性に腹が立って眼鏡を奪ってやれば、

「規則は破る為にあると言ったのは君だ。」

そう言って突然顔が近づいて。



唇には、甘いバニラの味が残った。





ては計算どおり

これ以外、君に近づく口実が見つからなかったんだ。











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20080104



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