白ンザム雪姫





昔々あるところに、白雪姫という名の、雪のように白い肌をした、それはそれは美しい娘(?)がおりました。


って、何で俺が白雪姫なんだよ…!ティエリアでいいじゃねぇか!


●だってこの中で一番肌白いし。流石よね、アイルランド人。


それだけの理由かよ!


●脚本家兼監督である私の名配役にケチ付けるっていうの?白雪姫なのよ、肌の白さが最重要項目でしょ!


だからって…!なぁ、楽しいか!?いい年した男にこんな格好させて楽しいかよ…!


落ち着いて、ロックオン!その衣装よく似合ってるよ…!


慰めてんのか辱しめてんのか…空気読まねぇのは相変わらずだな、相棒。


見るな!頼むから哀れみの籠った眼差しで俺を見るな…!


白雪姫は森の中にある小屋で、キャスト的に無理があるので7人ではなく2人の小人達と楽しい毎日を送っていました。

そんなある日、お城にいる悪い魔女が美しい白雪姫の存在を知ってしまいます。


鏡よ鏡、世界で一番美しいのは誰だ?


ニール・ディランディだ。(真顔)


おい待て白雪姫でいいじゃねぇか…!何で俺の本名出すんだよ…!


●お黙りニール・ディランディ。その方が面白いからよ。


……な…っ!


当然、俺のエクシアが一番美しいと思っていた魔女は、鏡からの答えに顔を顰めます。


違う。この世で最も美しいのは、俺のエクシアだ。


刹那、君はわかっていない。この世で一番美しいのはニール・ディランディだ。


違う!


ヴェーダの情報に間違いはない。この世で一番美しいのは、ニール…


違う!俺の!エクシアだ!!!

ガシャーン!


怒りの余り鏡を叩き割った魔女の瞳には、白雪姫に対する強い嫉妬の炎がメラメラと燃え盛っておりました。

ロックオ…違った、白雪姫。鳥肌凄いけど…、大丈夫かい?


大丈夫に見えるか…?俺は今無性に監督を狙い撃ちたい。


…ドンマイ。じゃあ僕達はそろそろ仕事に行ってくるよ、白雪姫。あ、昼食はじゃがいも以外なら何でもいいから。

四の五の言わずに黙って演じときゃいいんだよ。二秒で家事終わらせとけ、居候。


…言いたい放題だな、あいつら。


――コンコン。


小人達が家を空けて暫くすると、白雪姫が一人になった頃を見計らっていたかのように、誰かが小屋の扉を叩く音がします。


白雪姫はいるか?


俺が白雪姫だが…、誰だ?


カマル・マジリフだ。

何で俺は本名でお前は偽名なんだよ!


扉を開けると、立っていたのは見知らぬ一人の老婆でした。


白雪姫、ミルクの礼だ。


へぇ、律儀だな。ありがとさん。


老婆が差し出した美味しそうな林檎を、白雪姫は何の疑いもせず口に運びます。しかしその林檎には、食べると死に至る猛毒が塗られていたのでした。


これで俺が…ガンダムだ…。


…よぉ、お前ら……、満足か?こんな配役で…。俺は…嫌だね……(嘆)


そう、老婆の正体は、白雪姫の美しさに嫉妬の炎を燃やしていた、あの悪い魔女だったのです。こうして白雪姫は敢えなく命を落としてしまいました。

そんなことなど露知らず、仕事を終えた小人達が小屋に戻ると、そこには魔女の計略に嵌まり息絶えて冷たくなった白雪姫の姿が…

そんな…白雪姫…!僕達の昼食を準備する前に死んでしまうなんて…

ヘタこきやがって、おセンチ野郎が!ったく…オチオチ仕事もしてらんねぇぜ。


(俺、死んでるんだよな?扱い酷くねぇか…?)


白雪姫の亡骸を棺に納め、小人達が悲しみに暮れていると、小屋の前を偶然この国の王子様が通り掛かりました。


初めましてだな、ガンダム!


失礼ですが、何様ですか?


わざとなら大したもんだけどよ、てめぇが何様だアレルヤ。


…ご…ご無礼!(焦)あの、えっと…どちら様ですか?


私はこの国の王子!白雪姫の存在に心奪われる予定の男だ!


王子様は小人達から事の顛末を聞くと、白雪姫が眠る棺の傍らに向かいました。そして雪のように白く美しい白雪姫に、文字通り人目で心奪われてしまいます。


何と美しい…!まさに、眠り姫だ!


…白雪姫だが。


どちらでも同じことだ!しかし白雪姫が少年ではないとは…、無念だな。


……。(後退り)


まぁ構わん。少年には後で個人的に私の愛を受け止めていただこう!


……愛!?

さぁ、眠り姫。この私の!熱い接吻で!目覚めるがいい…!


だから眠り姫だっての!ちょ、近いんだよ…!待て。それ以上近寄るな…!あんたがやると冗談に思……やめ、





撤退だ刹那ぁあ!!!(猛ダッシュ)



り、了解!


逃がさんぞ、眠り姫!そして少年!!

追ってくるな!

お前ら見てないでそいつ止めろぉおおぉお!!






こうして、王子様の接吻で死の眠りから目覚めた白雪姫は、最早変態的なストーカーと化した王子様の猛追から逃れるべく、悪い魔女と共に森の奥へと姿を消したのでした。

めでたし、めでたし。










これってめでたしめでたし、なのかな…?


●これ以上ない未曾有で渾身の大団円よ。


おい、あいつら黙らせなくていいのか?




まさしく愛だぁああ!!!


俺に…触れるな!


あんた本当いい加減にしろよ…!





●…いいんじゃない?何か楽しそうだし。


どこがだよ。


監督の悪意が見えるようだよ…。


これが、人間か…。(怯)






終わっとけ







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