静かな部屋に響くのは、窓を叩く雨音と微かな泣き声。とめどなく涙を流し続けるオニキスを膝の上に座らせて、ロックオンは困ったように淡い翡翠の瞳を細めた。



「ほら…泣くなよ、オニキス。」

「…ふ……、うぇ……っ」



堪えきれない嗚咽を洩らし、小さく肩を震わせるオニキスの体を包み込んで、落ち着かせようとゆっくり背中を撫でる。それでもオニキスが泣き止む気配は一向になく、溢れる雫と時間だけが虚しく流れていた。



「…もう泣くなって。いつまでもめそめそしてるなんて、お前らしくねぇぞ?」



ロックオンはぽんぽん、とあやすようにオニキスの背中を何度か叩き、ぎゅっと体を抱き竦める。



「泣いてるお前見てると、俺まで泣きたくなるだろ。だから…、な?」

「ひっ……、う………」



悲しみの色を含んだその言葉に、オニキスは何とか嗚咽を飲み込んだ。漸くロックオンの胸にうずめていた顔を上げ、涙に濡れたままの瞳で彼を見上げる。



「……ロック、オン…。」



頬を伝った涙の筋を辿り、泣き腫らした瞳に浮かんだ一雫を、ロックオンは長い指先でそっと拭い取る。そしてふわりと優しく微笑んで、オニキスの頭に手を置いた。



「よし、いい子だ…。」









をふいて

いつものように、笑ってみせて。











20080318



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