2月27日。展望室の扉を開くと、ぼんやりと星空を眺めるアレルヤの姿があった。

「アレルヤ。」

「やぁ、オニキス。」

目に見えて憔悴し、目の下には隈が出来ていて、痛々しいことこの上ない。それでもこうしていつものように、笑顔を向けてくれる。

「誕生日、おめでとう。」

あんなミッションの後で、とてもまだお祝いなんて気分じゃないだろうけど。

でも、どうしても言っておきたかった言葉。

「うん…ありがとう。」

オニキスはアレルヤの隣に移動して、窓の外に目を向けた。真っ暗な宇宙に散った幾千もの星。地上からは見ることの出来ない、壮大な光景。

「ねぇ、プレゼント何がいい?」

「…プレゼント?」

不思議そうに繰り返すアレルヤに、オニキスは頷いて答える。

「そ。誕生日のプレゼント。最近ずっと宇宙に居たから、今日は何も用意出来てないんだけど…。」

そう言って、ごめんねと小さく謝るオニキス。君がこうして隣に居てくれるだけで、僕にとっては最高のプレゼントなんだけど。

「何でも、いいの?」

「うん。」

「じゃあ…、」

オニキスは隣に立ったアレルヤを見上げた。端正な顔立ち。長い前髪に隠れた右目。穏やかな左の瞳の色は銀。開かれた口から、躊躇いがちに紡がれた言葉は、



「キスして。オニキスから。」



「え…、キ……!?…って、ふ…アハハッ!」

顔の火照りを自覚するより早く、笑い声が漏れた。

「…オニキス、何もそんなに笑わなくても……」

「ごめ…っ!だ、だってアレルヤ…自分から言っといて、顔が真っ赤なんだもん…!」

顔を赤く染めたまま、アレルヤはバツが悪そうに目を逸らす。何だか可愛いなぁ、なんて思いながら。

「…いいよ。」

背伸びをして、アレルヤの左頬に手を添えると、少し驚いた表情でオニキスを見、背を合わせようと腰を屈めた。

そっと唇を重ねる。ついばむような優しいキスを何度か繰り返し、唇を離して目を開く。

目が合って、近過ぎる距離に気恥ずかしくなって二人で笑って。もう一度、唇を重ねた。

「好きだよ、オニキス。」

「…私も。大好き。」





君がにいる幸せ

来年も再来年もその先もずっと、二人で誕生日を祝おう。











20071231



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