僕の知らない世界でに提出
大抵、こんな感じのが多い。べーやん単品だから、どうしても多くなる。
食糞・人肉食・グロ・ショッキング注意。


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 節足動物の筋と爬虫類の肌を持つ手が四本の指を動かして鍵を開ける。貴族の嗜みである食の嗜好から人間の忌避する臭いを身に纏う悪魔は、短く茂った赤紫色の芝生へ足を踏み入れた。貴族の暇つぶしとして所持した庭は小さいと言うには広大な面積を持ち、貴族個人が所持する庭と言えば小さすぎる面積を持つ。だが、この悪魔にとって、この庭はちょうどいい広さを持っていた。不気味な色と形を持つ花を咲かせた樹木はその背の低さから、庭を取り囲む煉瓦の壁を剥き出しに見せていた。魔界の低俗な魔物たちが庭の端から端へと走り回っていた。一匹の魔物が肉のついた骨を齧っていた。悪魔は知能を持たない低俗な魔物が骨に齧りついている野蛮な行動に侮蔑を送った後、庭の真ん中で震える人間に近づいた。ボロを纏う人間は見える足にビクリと体を震わせる。裸にボロの布一枚で体を丸めながら小刻みに震える人間へ悪魔は柔らかい表情を浮かべながら膝を曲げた。ベルベットの生地が赤紫色の芝生に埋まる。柔らかな表情を浮かべる悪魔の発言に、膝を抱えながらブルブルと震える人間は恐怖で膀胱を緩ませた。重い陶器の入れ物が芝生の上を動く。悪魔の四本の指の内一つが、その陶器の入れ物の縁から離れた。
「ほうら、食事の時間ですよ。食べないのですか?」
 優しく尋ねる悪魔の問いにガクガクと震える人間は首を振るう。悪魔は足を閉じた人間の腿の内側から垂れる黄色い液体を見る。緩んだ膀胱から漏れた黄色の液体にスッと目を細めた後、ガクガクと震える人間の足を乱暴に掴んだ。足を引っ張られた人間は赤紫色の芝生の上に倒れる。恐怖に身を凍り付いた人間は、潰された喉から悲鳴を出す事は出来なかった。散々と目の前で見せつけられた残酷な拷問と悲鳴を前にして震える事しか出来なかった人間は、悲鳴を上げる術を失われてしまっていた。精神的に声を出す事の出来ない人間を、悪魔は愛おしそうに見てから、黄色い液体の垂れる腿の内側へ頬を寄せた。
「粗相をしてはいけませんではないですか。それとも、このベルゼブブめの好物がこう言うものであると言う事を、ご存知の上で?こう言う事をなさって?可愛らしい方だ。」
 喉の奥で嗤ってから、ザラザラとした舌を人間の腿へ向かって悪魔は差し出す。異物が腿を舐め上げる感覚に人間は凍り付いた目尻から涙を滲ませる。温い涙が凍り付いた人間から湧き起こった事に甘い鞭を与えないまま、悪魔は人間の緩んだ膀胱から漏れ出た黄色い液体を舐め取る。悪魔にとっての飴が悪魔の口へ溶け込む。悪魔は物足りなさを感じながら、唾を飲み込んだ。唾で薄くなった黄色い液体の味は未だ、ベルゼブブに満足を与えるものではない。
 ベルベットの生地で作られたズボンの膝を伸ばしてから、ベルゼブブは立ち上がる。赤紫色の芝生の上へ倒れた人間は、目にした残酷な拷問の数々から身に沁みた反応で起き上がる。ガクガクと体を震わせながら懸命に悪魔の機嫌を損ねないように犬のように従順な態度を取る人間に悪魔は気を良くしながら、起き上がった人間の頭を掴む。ガクガクと体を震わせる人間は大きく目を見開く。髪の付け根を掴まれた人間の大きく開かれた目尻に小さく涙が溜まっている事に気をかけず、悪魔は口を開く。「さぁ、食事の時間ですよ」と告げる悪魔の言葉に人間は凍り付く。そして恐る恐る、悪魔の差し出した入れ物を見る。四本の指で芝生に擦りつけるように悪魔によって人間の方へ差し出された陶器の入れ物には、大凡人間の食べれ得ないものが乗っていた。人間の体が凍り付く。悪魔は慰みをかけるかのように震える人間の青白い頬を撫でた後、共通点が大きな目しかない人間へ優しく語りかけた。
「どうしたのですか?貴方たちは、散々と食べたでしょう?」
 悪魔の語り掛けに人間は凍り付いた悲鳴を喉の奥で出す。悪魔は化粧の取れていない人間の顔に面影を重ねながら、青白い頬に傷を付ける。プッツリと青白い人間の頬に赤いボタンが生まれ、赤い一筋が顎に向かって垂れる。だが、大凡の骨格も顔の形も全て、元のものには遠かった。悪魔は魔界に紛れ込んだ人間の内、幾つかそれに近いものを選び出して、甘言を吐いてそれらを別邸の一つへ連れ帰り、好きなようにした。悪魔の強要する食事に連れてこられた人間の誰もが、理解をする事ができなかった。だが、悪魔が見せしめとばかりに、一人の、その大本とはかけ離れた様相を持つ人間を使って例えを示された事によって、連れてこられた人間の誰もが喜んで出された食事を手に取った。手づかみで夢中になってそれを食らう様子を悪魔は嬉しそうに見守る。人間は口の周りを糞だらけにした後、悪魔の顔色を見た。「えぇ、いい子ですよ。」と飴を与えてから悪魔が出て行った後、糞を口にした人間の誰もが庭の中で吐いた。また、人間の化粧は日が経つと崩れ落ちる事から、その損壊の激しいものから順に、残酷な仕打ちに掛けられた。
 日に二回、庭へ訪れる悪魔は庭にいる人間の顔色の様子を見た後、その中で一番損壊の激しいものを選び出す。数秒以上、悪魔に見つめられた人間は恐怖で身を凍らせ、口の中で歯を噛みきろうとした。だが、投げ出された上に新しく作り出されつつある死体に涎を垂らす低俗な魔物が、人間が死ぬまでを待たずに噛みついてくる痛みから、人間は舌を噛みきって死ぬことができなかった。悪魔に数秒以上見つめられた人間は、目の前で行われる残酷な仕打ちに耐えきる事が出来なくて、舌を噛みきって死のうとした。プチッと舌を噛みきった人間の口から血が溢れ出て、噛み千切られた人間の舌の付け根が縮み上がって喉に詰まる。窒息を覚えた人間は余りにもの息苦しさから芝生の上へ倒れる。赤紫色の芝生に赤い血液が上塗りされる。新鮮な血の匂いを嗅ぎつけた低俗な魔物が、我先にと言わんばかりに舌を噛み千切った人間へ飛びかかった。窒息で苦しむ人間は視界を覆い尽す魔物に目を見開き、悲鳴を上げる。生きながら身を啄まれ、内臓を抉られ、千切り取られる恐怖と痛みに目を見開き、顔を強張らせる。低俗な魔物たちが飛び散らせる血液が怯え竦む人間たちに降りかかる。二回目に来た悪魔は底の深い盥を手にしたまま、食い散らかした死体を見て、一言言い放った。「おや、汚い食い散らかしですこと。」
 庭へ行く一回目は人間の様子と顔の損壊を見に、二回目は損壊した人間の始末をする為に。
 二回目に庭を訪れた悪魔は、最後の一人を溺死させた後、その死体を調理するようにコック長へ言いつけた。虫の形をしたコック長は恭しくお辞宜をした後、汚れた顔をした人間の死体を銀色の台に乗せて、調理室へと向かった。悪魔は無言で遠ざかる死体を見る。熟成した糞の液体に頭を押さえつけられて溺死を強要された人間の肺にはドロドロに溶けた糞の味や臭いがこびり付いていた。悪魔は無言で自室に戻った後、広い部屋の真ん中にあるソファへ大股で近づいた。腰を下ろし、前へ体を倒す。悪魔は広いテーブルの上に置いた一枚の写真を手に取った後、ぞんざいに背中をソファの背もたれへ反らしてから、足を組んだ。大きく脇を広げ、肘をソファの背凭れへかけたと同時に頭を置いた。悪魔は手にした写真を天井へ掲げ、その写真に写る人物を見る。悪魔が先に目についたのは、その大きく開かれた瞼にある目玉だった。その目は悪魔の好みと嗜好によって塗りつくしたいと思える程に透明な色をしていた。未だ何ものにも染まっていない目玉を悪魔は愛おしそうに見た後、鼻へ目を移した。小さい鼻は悪魔の臭いを鼻にしては、何時も「臭い」と鼻を抓む。その度に悪魔は殺意を抱き、あの言葉は履行されたのではなく、違反されていたのでないか、と思った。心の中で殺意を抱き、写真に写る人物に向かってドス黒い感情をぶつける。憎しみに身を焦がす悪魔は、写真に写る人物の顔をジッと見た。そして写真に写る幸せそうな顔を前にして、「チッ」と腹立たしく舌打ちをした。きっと、その口はあの男と口づけを交わすためにあるものでしょう。あまつさえ、あの男の体を愛撫する為に。悪魔は腹立たしく胸に溶けない蟠りを抱きながら腰を曲げる。ならば一層の事、あの男に口づけをする事が出来ず、あの男の体を愛撫する事が出来ない程にまで、その口を徹底的に我が爪で刻んでやろうか。それとも、その口を切り刻んだ後に糞を塗り込んで、このベルゼブブめが美味しくいただいてあげましょうか。悪魔は自分がその人間に対してそのような仕打ちを行っている様子を想像して、独りほくそ笑んだ。節足動物の筋と爬虫類の肌を持つ悪魔の手と違って、写真に写る人間の手は白く、滑らかな肌をしていた。悪魔の手と人間の手は大きく違っていた。それと同様に、悪魔と人間の間でも大きい蟠りがあった。
「坊ちゃま、食事の用意が出来ました。」
 ノックをしたコック長が発した言葉に悪魔は顔を上げた後、「入れ」と命令を出す。上級悪魔の命令の後、数秒の間を置いて「失礼します」と下級悪魔は言った。大きい扉がゆっくりと開かれる。重厚な扉が開かれる隙間から覗く銀色の丸いカバーに悪魔の期待が駆られる。だが、銀色の丸いカバーに隠された中身の正体を思い出してしまった事で、悪魔の期待は刈られた。悪魔は苦い顔をして、目の前に出された料理を見る。銀色の丸いカバーは、主人の拒絶を見て開かれる事はない。その銀色の丸いカバーの取っ手を握る役目であるコック長は、心配そうな顔をしながら、主人である悪魔の顔を覗き見た。
「優一坊ちゃま……。今度のは数千年も寝かせた肥溜めに一週間漬けた人間ですよ。人間の液体が蕩けて出てしまいましたが、そのソースとしてその肥溜めを」
「それは、どのくらい使った。」
「はい。大凡、樽一つ分くらいを。」
「そうか、捨てろ。」
「……はい。しかし、大お父様や大おじい様も食べるものの故ですので、無駄遣いは程ほどにしろ、とのことです。」
「ああ、分かっている。……目当ての人間を捕まえる事が出来たら、その欠片でもくれてやると伝えてくれ。」
「……はい、分かりました。」
 悪魔に向かって恭しく頭を下げたコック長は、悪魔に体の正面を向けたまま扉まで歩いた。後ろ歩きで歩いた下級悪魔は上級悪魔の部屋から出る。一人、テーブルの上に置いた写真と共に銀色のカバーに隠された料理と部屋に残された悪魔は、黙って出された料理を見る。悪魔は頭の中で、その人間に対して考え事をする。その人間は悪魔が喉から手を出したい程にまで素材の質が高く、価値も高い。その上、生贄と出されれば上等と言うには言い足りない程までのものであった。悪魔はその人間に対して目を細めた後、見たくもない料理の中を見た。
 節足動物の筋と爬虫類の肌を持つ悪魔の四本の指が銀色カバーの丸い取っ手を掴む。香る臭いを鼻にした瞬間、悪魔はこれが偽物である事が分かっていた。悪魔は苦々しく口を歪める。悪魔が目にした料理の中身は、人間の太ももを輪切りにしたものだった。漬けられて表皮がドロドロに溶けだした上に、液状に蕩けた糞のソースがかかっていた。悪魔は眉を顰める。現れた人間の太ももの輪切りに苦々しく眉を顰めた後、意を決して、皿の縁に乗せられたフォークとナイフを手に取った。悪魔の手にある写真が悪魔の傍らに置かれる。悪魔はソファへ伏せた写真を傍らに置いた後、唾を飲み込んで、人間の輪切りにナイフの切っ先を伸ばした。後退る悪魔の肘が無理にナイフを動かし、一口大の肉を切る。嫌そうに顔を歪める悪魔は口をへの字に曲げながら切った肉の一切れをフォークに突き刺す。
 後は口に運ぶだけと言う支度の整った肉を目の前で揺らした悪魔は、苦々しく溜息を吐く。鼻孔を擽るジューシーな糞の臭いに熟成された味を期待させる汁。悪魔の腹を空かせることに十分の整った食材が目の前にあると言うのに、そのメインとなった食材によって全てをぶち壊しにされていた。悪魔は苦々しく舌打ちをする。代用でしかなかった人間の肉を苦々しく睨んだ後、意を決して口にした。パクッと悪魔の口がフォークに突き出した肉を一口で食べる。そしてモグモグと口を動かす事もなく、滴り落ちる糞の味を見ただけで、すぐにプッと吐き出した。高級な生地で織られた赤い絨毯に悪魔の唾液と熟成した糞の液体が付いた肉が落ちる。床へ肉を吐き出した悪魔は苦々しく料理と共に置かれていたナプキンで口元を拭った後、ソファから離れた。脱糞する音の鳴る携帯を手に取り、受信したメールを開く。悪魔が契約された人間の頼み事が画面に記載されていた。取るに足りない人間に顎でこき使われる事に悪魔は腹立たしさの余りに顔を歪め、携帯を握力で壊そうとした。ピシッと罅の入った携帯が壊れる前に、悪魔は気を静める。代用した人間がこのような目に遭っている事を、その大本となる人間に伝えればどのような顔をするであろうか。いや、その前にあの男が邪魔になるな。
 悪魔は鬱陶しそうに眉を顰めた後、携帯を閉じる。グリモアを手にした人間の前では、表向きだけでも従順な振りをしなければ。チッ、あの女……何時か覚えとけよ……。と悪魔は殺意と憎悪に燃える炎を限りなく燃やしながら、金魚や虫を飼育する水槽の中にある藁人形を睨んだ。藁人形の頭に釘で顔写真を打たれた契約者の女の顔には糞が塗りたくられ、飼育されている蠅がブンブンとそこに集っていた。今出来ない仕打ちを水槽の中で晴らす悪魔は、ソファの上に置き去りにした写真へ目を移す。殺意と憎悪に燃えた炎は静まり、代わりに落胆と憎悪の氷が悪魔の胸中にツララとなって振り落ちた。胸に痛みを覚える悪魔はその人間に対して憎悪を抱く。そしてそのことが出来ない自分の身を嘆くかのように、何度も何度も落胆の息を吐いた。
 そう、今までのもこれからのも、全てはこの女を絶望と死の縁へ追いやる為。そしてその贖罪の為に、このベルゼブブに救済と言う仕打ちを求めさせるが為の一歩なのだ。悪魔は苦々しく溜息を吐く。そして「これは予行練習なのだ」と何度も言い聞かせた言葉が到底叶いそうにもない儚い願い事である事を思い出して、落胆と憎悪の炎に凍り付いたツララを何度も胸に落として、痛む胸を抱えながら何度も頭を抱えて嘆き狂った。
 傍らに置かれた写真の代わりに、その写真に写る人間を自分の腹へ収めようと悪魔が何度も何度も夢想を行っても、その人間が悪魔に対して興味を向けることなど、当分を通り越して永久になかったことだった。
 永久の氷漬けにもされ、悲嘆の涙が溜まって流れ出した嘆きの川へ自ら身を落とす悪魔は、ある単語からある事柄を思い出す。コーキュートスへ落とす事を脅して追い払った人間の民話には、自殺をした人間は天国に行けず、悪魔に連れて行かれるとあると言う。
 悪魔は写真に写る人間を魔界へ連れて帰る手段を見付けて、ニヤリと口角を歪ませた。しかし、それを阻む男の存在を思い出して、悪魔はまた頭を抱えた。あぁ、あぁ、あぁ、どうしてあぁも邪魔をする。この、ベルゼブブの邪魔をする!全てはお前が悪いと言うのに、お前が素直にこのベルゼブブの言葉を信じないばかりに!
 悪魔はギシリと軋ませた歯から血を滴らせた後、光る魔方陣に吸い込まれて消えた。
 魔界にある別宅にある部屋から人間界の狭く薄暗い部屋に喚びこまれた悪魔は、契約者の女が心配する声を無視して事務所へ出る。嘴の端から血を滴らせる悪魔は、重苦しい扉を開ける。魔界にはない太陽の光が部屋に差し込んでいた。そして写真に写る女が、悪魔に引けを取らない程の残酷無慈悲で鉄仮面の男へ心を開かせて花のような笑顔を零している事に、悪魔の胸がズキンと痛んだ。


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