鬼叺 novel | ナノ
おかしい

「天馬は、どんな時が、退屈?」

そんな、寂しそうな声で聞かないでよ。
胸が痛くなるじゃんか。

ここは太陽の病室で、今は俺と太陽の二人だけ。
実はお見舞いじゃなくて、恋人同士の病室デート。
学校帰りの俺からしたら、病室デートも十分楽しいけど、一日中ここにいる太陽は退屈で仕方ないんだろうな。
でも、どうにかしてあげたくても、こればっかりは俺にはどうすることもできないんだ。
ごめんね、太陽。

「僕は、退院して、サッカーして……って、考えるのにも飽きてきたよ。」
「……、俺は太陽とサッカーすること考えたら、夜も眠れないけどなー。」
「嘘ばっかり。」
「嘘じゃないよ。」
「、嘘じゃないの?」
「嘘じゃないっ、!」
「僕は、僕はっ……退院できなくても、サッカーできなくても、天馬がいてくれれば、それでいいよ。」
「太陽、」
「サッカーできない僕は、いらない?嫌い?」
「っ、そんなこと、」
「ねぇ、僕とサッカー、どっちが好き?」

……あれ、?

俺、太陽とサッカーを選ばなきゃいけないの?
そんなの、選べない、選べないよ、ねぇ、?
選べって、もう、どうしても、一つなら、答えは決まってるけど、だって、大好きだもん、大好きだもん。

「サッカーできない僕といても、退屈だろ、天馬、っ!!」
「そんなこと、ない、よ……俺は太陽が好きだから、太陽以外いらない、よ、」
「、天馬っ!ありがとう!僕も大好きっ!!」

絶対おかしい。

太陽が何を言っているのか、俺が何を言っているのか、もう理解できない。
ただ、ただ、この状況がおかしいことしか、解らない。




おかしくても、正せない。



12/02/16

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