鬼叺 novel | ナノ
小さな告白

僕は、君の温かい手が大好きだ。
恋人同士みたいに手を絡ませて、感じる体温が大好きだったんだ。

けど。

「聞いて!太陽!俺、剣城と付き合うことになったんだー!」

目の前の僕の可愛い天使は、何の躊躇いもなくそう言った。

別に僕達は付き合っていた訳ではないし、もっと言えば僕の片想いだし、告白したこともそれを匂わせたこともなかったけれど。
でも、いきなり他の男のものになるって言われたら、あーもう何も考えたくない。

「そーなんだ!羨ましいなぁ。僕も恋人欲しいっ!」
「ありがと!そんなに喜んでくれるなら、やっぱり一番最初に太陽に教えて良かった!」

今日は爆弾ばかり落としていくね、天馬さん。
このままその爆弾で死んでしまいたいよ。

こんなに辛い思いをするなら、さっさと告白して、断られても、ムリヤリ既成事実つくっておけばよかった。
既成事実なら、今からでも遅くなさそうだけどね。

「天馬。」

まぁそんなこと、チキンな僕にはムリですよ。
だから、せめて、小さな告白を含ませて。

「太陽?」
「僕、天馬と手を合わせるの大好き。」
「、俺もだよ。」
「ありがとう。」

感じる体温はいつも通り温かいけれど、昨日までと違う君。
今はまだ、素直に祝福できないけれど、いつか僕のこの気持ちが友情に変わるまで。

もう少しこのままでいさせてね。



12/02/14




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