鬼叺 novel | ナノ
言えない

部活の合間にちょいちょいっと剣城に呼ばれて付いていったら、俺の耳に剣城の唇がくっついてびっくりした。
慌てて真っ赤になった耳を押さえると、違うとか悪かったとか言われて、手を握られる。
すごく熱い手だなぁと思ってたら、さっきより落ち着いてきた剣城が、真っ直ぐ俺の目を見て口を開いた。

「明日、部活無いよな。」
「部活?放課後は無いよ、朝練ならあるけど。」
「、暇……だよな?」
「?、俺?今のとこ暇だよ。」
「なら、どこか行かないか、」
「…………いいよ。」

剣城は下を向いて、そうか、って言った。
表情が見えないけれど、きっと俺とおんなじ顔してるのかな。
そう思うと、少しおかしかったけど、それ以上に恥ずかしくて、俺も下を向いてしまった。

遠くからキャプテンが俺達を呼ぶ声がする。
あっ、部活!と気付いたときには、もう剣城はフィールド内にいて、俺も慌ててフィールドに向かって走った。

すれ違いざまに剣城と目が合ったけど、その目がとっても優しくて、すっごく、ドキドキした!



(デートのお誘い、だったんだよね、多分。)
(……結局、デートって言えなかった。)



12/02/06


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