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突然だが、私の好きなモノを3つあげよう。

渋いお茶、縁側、平凡だ。

ジジくさいと言われようが、これだけは譲れない。
日があたる縁側でまったりとお茶を飲む。
これが一日の疲れを……じゃなかった。

話が少しずれたが、私はこの2つと同等に扱う程、平凡を好む女だ。
非平凡を好むどっかの幼馴染とは違い、私は変化を望まない。
それは昔からで、私の生活を脅かす者が存在しようなら、極力関わらないようにしていた。

目立たず、まったりと生きる。

これが私のモットーだと言ってもいい。

だから、周りの女の子の視線を一人占めにして、私の帰り道を塞ぐ非平凡の男とは絡みたくないのだ。

その男は明らかに度が入っていない眼鏡を掛け、さっきから私をジロジロと見ている。
値踏みをされているようで、嫌な汗がじわじわと噴き出しそうだった。

「なぁ、あんたが宍戸の彼女さんか?」

妙に色気のある低い声が私の耳に届く。
言動から察するに、きっと宍戸くんの友達なんだろうけど、どういう経路で私が彼女になっているのか分からなかった。
まさか、宍戸くんがそう言うわけがないし…。

「しっ宍戸くんとは友達なんで…というか早くどいて頂きたいんですが…。」

まともに見れなくて目が泳ぐ。
この男と話し始めてから女子の視線が痛い!
私が返答してからも男…もう伊達男でいいや、伊達男は「ふーん」と言っただけで、どいてくれる気配はない。

早くどいてくれ!
今日は桃矢と評判のラーメン屋に行く約束なんだ!

内心一杯、一杯になっているとこの伊達男ときたら、爆弾発言をしやがった。


「でも、この前宍戸に弁当作っとったのあんたやろ?」

周りの女子のざわめきがいっそう大きくなる。
貴方たち、盗み聞きはいけませんよ…。
ただでさえ、痛かった視線に殺意までが加わり私の体を刺す。

宍戸くんが入っているテニス部が人気なのは知っていたけど、ここまでだったとは…。

「確かに宍戸くんにお弁当は作りましたけど、あくまでお礼だったんで深い意味は無いですよ…。」

「何してもらったん?」

「教科書を貸してもらって…。」

「それにしては弁当って大きすぎやない?」

「感謝の気持ちは人それぞれだと思いますけど…。」

「下心あったんやないの?」

「(何だこれは…。)」

まるで尋問のような遣り取りを繰り返す。
質問に答える度にに増す視線が居心地を悪くする。

「なぁ、宍戸のこと好きなんやないの?」

「だから、ただの友達ですってば!」

思わず声が大きくなる。
この居心地の悪さに私も流石にイラついてたらしい。

「そない大きい声出さんでも…勘忍なぁ、俺の勝手な思い込みやったわ。」

そう言って意地悪そうに笑ったのを見て直感した。

「(コイツ、全部分かってる。)」

根拠は無かったけど、この伊達男は全て知っていて、なのにあんな質問をしたと思った。

「っ〜〜、失礼します!!」

居たたまれなくなって、私は伊達男の隙を見て脇を通り逃げ出した。
普通なら怒るなり、何なりかして、逃げ出したりなんかしないけど今回はなにぶん相手が悪い。
アイツにいいように遊ばれた気がしてならない。
なかなか心が見えない目を思い出して少し怖くなる。
絶対アイツは腹黒だ。というより人を見下すような人だ。
どっちにしても私の苦手なタイプ。
いくら宍戸くんの友達といえど、仲良くなれそうには無かった。
名前も知らない伊達男を私はしっかりと心のブラックリストに刻み、全速力のまま廊下で待っていた桃矢につっこんだ。

「わっ!痛いよ、霜月!!」

「桃矢…私は平凡に生きたいんだよぉ!」

「知ってるよ、そんなこと。いつも言ってるじゃん。」

「うぅぅぅ…眼鏡なんて嫌いだー!!」

「えっ!何!?何があったの?!」


アイツにはもう二度と関わりたくないと思いました。あれ?これ作文?


→おまけ

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