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世界はいつも変わらず廻っている。
たとえ誰かが死んでしまっても、悲しむのはその人の周辺だけで、その人の存在すら知らない人は変わらず毎日を過ごしている。
所詮この世の人は世界に、あるいは世間に良いように動かされていると私は思う。
これでもかという位貧乏な人もいれば、想像出来ない様な金持ちもいる。
それは世間でいうその人が生まれ持った運命なんだろうけど、私は世界が何の変哲もなく廻っているからだと思った。
もし、世界が突然、逆廻りを始めたら人の人生はさながら革命のような現象が起きるだろう…。
でも、私は?
私は世界の中で最も割合が多い、一般人。
たとえ逆廻りになっても、普通のままじゃないの?
まぁ、それでもいいんだけど、どうせなら私の世界にも革命が起きたらいいのに…。
引用 〜Wの周回〜
秋。
世間では"食欲の秋"、"読書の秋"、"スポーツの秋"とよばれる季節。
中学校生活最後の夏休みを相変わらず普通に過ごしていたつまらない我が人生に革命が起きる季節が来た。
秋といえば、体育祭、文化祭と恋愛イベントが発生する確率が高い。
せめて、最後の秋ぐらい、恋をして、青春を謳歌しようじゃないか!!
「ってのが、俺の理想!」
「馬鹿じゃねぇの……。」
秋。
変わらない日々を過ごす私は、今更大恋愛が起きるとか期待していない。
馬鹿な発言をしたのは自称親友の秋川桃矢(男)。
家が隣同士で、もう10年間一緒にいる、所詮幼馴染の関係だ。
「なんだよ〜。霜月は、恋したくないの?」
「興味ない!」
「そんなキッパリと言わなくても…。」
膨れっ面の桃矢をスルーして、私は通学路を再び歩き始めた。
馬鹿な幼馴染を持つと苦労する…。
好きだの嫌いだの浮かれる暇があるなら、私は何もせずに過ごしたい。
唯でさえ、私の学校は金持ちが溢れている非平凡な学校なのだ。
平凡な私は目立たず過ごすのが一番。
誰かに革命を起こしてもらおうなんて馬鹿げてる。
私の平凡な世界に革命なんて必要ないし、したいなら自分でする。
そうして私、久世霜月は、変わらない日々を平凡に過ごしている。
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