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日が昇り切った午前11時。
葉月は目を覚ました。
「皐月ちゃん?ここは何処?」
「並盛病院じゃ。」
まだ虚ろな目をした葉月の頭を撫でながら、ウチは答えた。
「私生きてる・・・。」
「発見が早かったけぇな。大丈夫か?気分悪くないか?今水持ってくるけぇ」
部屋の脇にある台の上の水を取りに行こうとしたら、葉月がそっとウチの手を掴んだ。
「ごめんね皐月ちゃん・・・。心配掛けて本当にごめんね・・・。」
かすかに震える手に沿って葉月の顔を見ると、彼女は泣いていた。
ウチは手を握り返し、涙を拭いてあげて言った。
「葉月が無事だったんなら、それでいい。それより何でこんな事した」
葉月の手が僅かに反応したのを視線だけで見て、視線を上げて顔を見れば焦っているような何とも言えない表情をしていた。
「えっと、それは・・・その・・・」
視線は右、左と泳いでいる。
「ウチらの間じゃあ隠し事無しじゃろ?」
ウチがそう言えば、意を決したように目を瞑ってひっそりと話始めた。
「私、虐められてたの・・・」
「(やっぱり・・・)」
ウチは心の中で呟いた。
でもウチには理由が解らなかった。
元々消極的な性格だが、決して人に嫌われるような子では無いことはウチがよく知ってる。
「葉月・・・詳しく話してくれるか?」
「(コクッ)あのね、始まりは3カ月前の事だったの」
病室にはウチと葉月の2人きり。
遠くから微かに忙しなく走る看護婦の足音が聞こえた気がした。
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