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side百花



あたしはいつだってお姫様でないといけない。




「オッス!西園寺」

「おはよぉ!!」

「おはよう百花ちゃん、今日は一段と可愛いね♪」

「え〜そんなことないよぉ!ちょっと髪形変えただけだもん」


皆があたしに声を掛けて、可愛いと褒める。
それは当然のこと…だってあたしは皆のお姫様だからね。
そして皆はあたしの可愛い下僕♪

今まであたしが気にいらない子はみーんな潰してくれた。

「うわっーまだ来てるよ黒羽の奴。」

そうたった一人を除いて…

「百花ちゃんにあんなことしておいて、よく毎日来れるよね」

「西園寺大丈夫か?」

「う、うん…ちょっと怖いけど、皆がいてくれるから大丈夫だよぉ」

黒羽皐月。
数週間前にあたしのクラスに来た転入生。
コイツだけはクラス中に虐められても変わらず学校に来ている。

「さっさと潰れちゃえばいいのに…(ボゾッ」

「え?百花ちゃん何か言った?」

「…ううん、何でもないよぉ」

自分でも少し顔が歪んだのが分かった。
その顔をすぐに笑顔に戻せば、下僕達は簡単に顔を染めた。
その呑気な姿に苛立ちを覚える。

役立たずの下僕共のせいで黒羽皐月はしぶとく学校に来ている。
おまけにクラスの中にはまだ味方がいるみたいだ。
あの人気者の隼人と武、2人を纏めるツナくんも黒羽皐月を虐めようとしなかった。
ツナくんはともかく、カッコイイ隼人と武があたしの為に動かないのが気にいらない。

「何かいい方法を考えないと…あっ!そういえば!!」

ある事を思い出したあたしは急いで教室を飛び出した。

なんであたしは今まで気付かなかったんだろう!!
あの人さえ味方をしてくれれば、黒羽は潰れる!

教室から向かっている場所は学校の応接室だ。
あの中には風紀委員長にして最凶の不良と名高い雲雀恭弥がいる。
噂では並盛の権力を全て握っていて何でも思い通りにしているとか…

「(今まで下僕に足りなかったのは、圧倒的な権力よ!雲雀恭弥だってあたしのことを好きになるに決まってる!)」

思わず興奮する気持ちをなんとか抑えても顔の緩みだけは収まらない。

「フフッ…黒羽皐月…今度こそ潰してあげる」

応接室と書かれた部屋の前で軽く身だしなみと顔を整える。
そして控えめにノックをしてとびっきりの笑顔で入れば、思った通り雲雀恭弥がいた。

「…誰?入室を許可した覚えはないよ」

「急に入ってごめんなさぁい。あたしぃ2年A組の西園寺百花って言います」

睨まれて怖いけど、攻撃はされなかった。
やっぱりあたしが可愛いからだわ!!

「そう…それで?何か用?」

「実は雲雀さんに相談があるんですぅ…。」

そう言えば、雲雀恭弥は動かしていた手を止めてあたしの傍まで来てくれた。

「(ちょろいわね♪)あたし、同じクラスの子に虐められてて…雲雀さんに助けてほしいんです!!」

少し涙を浮かべて、上目づかいで見る。
これで皆は馬鹿みたいに騙されていった。
自信満々で雲雀恭弥の返事を待つ。
でも彼から出た言葉は思ってたのと全く違っていた。

「君が僕に何を求めているか、だいたい分かるよ。残念だけど、僕は君に全く興味が湧かない…助ける気なんか起きないね。分かったら帰れ、目障りだ。」

吐き捨てるようにそう言うと、無理矢理応接室の外に出された。

「なっ、何するんですか…!!」

「言ったでしょ?君の入室の許可をした覚えは無いよ。これ以上僕を苛立たせないで、咬み殺されたくなかったらね…」

「チッ…!!」

トンファーを出されてしまったので、仕方なく応接室をあとにした。

「ムカつく!!…まぁいいわ。どうせ下僕なら他にもいるし…」

「雲雀、ウチじゃ」

「えっ…?」

角を曲った所で聞き覚えのある声がしたので覗いてみると思った通り、##NAME1##がいた。

≪ガチャ≫

「やぁ皐月。待ってたよ。」

あたしへの態度と間逆の態度で雲雀恭弥は優しい微笑みを黒羽に向けていた

「次体育なんじゃ…体操服無いから休ませて」

「いいよ。紅茶を入れさせるから入って。」

「ウチ、紅茶あんまり好きじゃないんじゃけど…」

和気あいあいという言葉が似合いそうな雰囲気で応接室へと入って行った2人。
あたしはその光景に愕然とするしかなかった。

「何…あれ…どういうこと…?」

雲雀恭弥はあたしを拒否したくせにあの女は受け入れるの?!!

「…許せない!!」

許せない!許せない!許せない!

「黒羽皐月…よくもあたしをコケにしてくれたわね…!!」

プライドがズタズタに傷つけられた。
あたしを拒否した雲雀恭弥よりも、雲雀恭弥に受け入れられる黒羽皐月の方に怒りが湧いてくる。

「今までのが温すぎだったのよ…。」

何かいい方法…黒羽が一番苦しむ方法を考えないと…。
必死に頭を巡らせてみると、あることを思い出した。




「そうだ!いいこと思いついちゃった♪」







あたしはいつだってお姫様でいないといけない。





どんなことをしたってね………。





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