鬼男くんの俺への態度が酷い件について。 いやもう酷いっていうか鬼畜?ドS?とにかく俺に対して容赦なんて塵に等しい。むしろ塵程もない。一応大王なんだけどな、俺。もっと敬いの心というものを持ってほしいもんだよまったく。 「敬ってるつもりですが」 「どこがだよ!ていうか人の心の声聞かないでよ!」 「顔に出てんだよ、あんたの考えてることなんてお見通しだアホ」 「あ、アホ!?仮にも上司に向かってアホって!」 「だいたい敬ってほしいならそれなりの姿勢を見せて下さい、ほら早く仕事仕事」 そう言って背を向ける鬼男くん。 (お見通し、か…) 鬼男くん、俺はね。 キミといると鼓動が速くなって落ち着かなくなるんだ。他の鬼や死者には何ともないのに、キミだけ。 キミが俺の名前を呼ぶたび俺の心臓は跳ねて、ドキドキして。 キミと女の子が仲良さげに話すたび、俺の心臓はちくって痛くなって。 キミともっといたい。笑顔が見たい。その大きな手でくしゃくしゃ撫で回して、ぎゅうって抱き締めてほしい。 こんな感情、知らない。 ねえ、俺の考えてることなんてお見通しなんだろ? 教えてよ鬼男くん。 「…なにボーッとしてんですか、あんたにそんな余裕は無いですよ」 「えー、休憩しようよー!」 「休憩する程働いてねーだろうが!」 「ちょっと働いてすぐ休む、これが閻魔リズ…やめてやめて爪しまってお願いだから!」 「ったく…この大王イカが」 「最後のいらなくない!?」 (ちくしょー罵られてるのになんでこんなドキドキしてるんだ俺の心臓…!) 「Mか俺は!!」 「いきなりどうした!」 この気持ちが恋だと気付くのは、もう少し先のお話。 Heart beat (病気なのかな?) |