「…っん……」

自身をぎこちない手つきで根元から亀頭までゆるく上下に扱いていく。

「…っう、…あぁ…っ」

(俺…何やってんだろ…)

鬼男くんと一緒に仕事している場で。
死者達を天国と地獄に振り分ける神聖な場所で。
あの閻魔大王が自慰行為をしてるんだ。

(…こんなの誰かに見られたら終わっちゃうな…)

そう思うものの動かす手は止められない。

「…っ…ぁ、んんっ…!」

限界を感じ、自身の先端を爪で軽く弾く。

「ふぁっ…におく、鬼男くんっ…!!」


「呼びました?」


「っ!!?」


後ろから声がしておそるおそる振り向くと、鬼男くんがこちらを見ながら立っていた。


「お、鬼男くん…何でここに…」

「それは僕の台詞ですよ、早く寝ろって言ったでしょう」

言い返されて何も言えなくなる。

「…で、君は何をしてるのかな」

腕を掴まれ机の上に乗せられた。
何をするかなんて聞かなくても予想はついてしまってるけど。

「あんたさっきイけなかっただろ?手伝ってあげるんですよ」

はい、予想的中。
ていうかいつから見てたの君は。
最初からとか言われたら恥ずかしさで爆発しちゃいそうだから訊かないけどさ。

「…っふ…ぅ…!」


口に指を突っ込まれ、長い指で口内を侵されていく。

たったそれだけのことなのに、中心に熱が集まるのが分かる。


やがて指はゆっくりと引き抜かれ、くちゅりと音を立てながら後孔に差し込まれていく。

「…ぁっ…や、ぁ、ぁ…っ」

「…そういえば大王、僕の名前呼んでましたよね」


「っんぅ…?」

「どんな事考えてしてたんですか?」

「……っ!」

「あ、今ここきゅうってきつくなった。やらしいな」

鼻で笑って指を3本に増やし、バラバラに動かし始める。

「っあ、や、それ、だめ…っ!」

「駄目じゃねーだろ、お前ここ弄られんの好きなくせに」

「うぁぁ…っ!」

ぐりっと中を一掻きされ、触ってもない自身はぴんと主張していて、先端からはこぽこぽと先走りが溢れ出す。


「んぁっ…おに…く…っ!ふぅぅっ…!」


指がある一点に触れた瞬間射精感に襲われ、思わず自身を握り達しようとした。

が、鬼男くんに腕を掴まれ机に縫い付けられ、同時に差し込まれていた指も抜かれた。

「や、ぁ…っなんでっ…」

イきたくてもイけないもどかしさに焦れて、生理的な涙が頬を伝う。

そんな俺の様子を見て、鬼男くんはふっと楽しげに口元を歪め、

「どうせなら僕のでイってください」

そう言って大きくて熱い自身で俺の後孔を一気に貫いた。

「ぁぁぁ…っ!」

「っは、ぁ、…」


指なんかじゃ比べものにならない質量と熱さに驚いて息が詰まる。

と思ったのもつかの間、ギリギリまで引き抜かれたかと思えばぐちゅんっと奥まで打ちつけられ、その与えられる快感にもう何も考えられなくなってしまった。

「…や、ぁ、んっ、おにおく、あぁっ…!」


「っく、大王の中、すっげー気持ち、っはぁ、いいですよっ…!」


ぐちゅ、ずちゅ、
激しくなる律動に比例して淫猥な水音も大きくなる。

「っふぁ、ぁぁっ、らめ、も、イっちゃ…ぁぁっ…!」

「っ僕も…!」

「ひゃ、ぁ――――…っ!」


声にならない叫び声を上げ、鬼男くんの背中にしがみつきながら達した。

少し遅れてお腹の中に広がっていく熱い精を感じながら、俺は意識を手離した。








「……ん…」

「あ、起きた」

目を開けると目の前に鬼男くんの顔が。

「うひゃあっ!!」

びっくりして飛び起きたが、鬼男くんの手によって腕の中に収納された。

「そんな驚かなくてもいいでしょう」

「だ、だって…ていうか、ここどこ?」

「ここは僕の部屋のベッドの上です、大王気絶しちゃってたんで運んできました」

「へぇ…」

「それより身体大丈夫ですか?机の上だったから結構痛かったんじゃ…」

俺の顔を心配そうに覗き込む鬼男くん。

普段やセックスの最中はS全開なのに、こういう時すごく優しいから困るんだ。

「…ううん、平気」

そう言って笑うと、鬼男くんも「そうですか」って微笑んだ。

その笑顔があまりにもかっこよくて、きゅんとして、悔しくなって。


「…くらえっ」

「っ!」


ちゅっと触れるだけのキスをしたら、彼の目元が紅に染まった。






夢中になって
たまには振り回したいのです





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