Rocky and Funny!! | ナノ






店を後にすると銀ちゃんの原チャリの後ろに跨がって家路へと向かった。ふと、私は銀ちゃんの腰に視線が向いた。

『…あれ、銀ちゃん』
「なんだ」
『木刀は?』



「…さァーなー」



何となく、木刀の行方には予想がついていた。役人を打ちのめし、何もない訳がない。多分あの店員にでも罪を着せたたんだろう、と一通り想像した。




「おいィィィ!!」

すると、それに気付いた店員が私たちの後を凄い形相で追ってきていた。

「何罪着せてんですかァァ!」
「律儀な子だな、木刀返しに来てくれたの。いいよあげちゃう。どうせ修学旅行で浮かれて買った奴だし」
『え、そうなの?』
「いやーもうすっごい浮かれててね、今は何だか後悔してるよ」


「お前ら人の話を聞けェ!」


原チャリに追いついた店員の男の子は叫んでいたが私たちは何ともわざとらしくしらばっくれていた。どうやら私たちが帰った後に役人がやってきて天人たちを襲った犯人とされ、挙げ句の果てに店主にまで下手人にされたんだとか。

「今時雇ってくれる所なんてないんだぞ!明日からどーやって生きてけばいいんだチクショー!」

もうやけなのか、男の子は私たちの乗る原チャリに向け、思い切り木刀を振り上げた。が、銀ちゃんはそれに気付きブレーキをかけた。

「ギャーギャーギャーギャーやかましいんだよ腐れメガネ!自分だけが不幸だと思ってんじゃねェ!世の中にはなァ、ダンボールをマイホームと呼んで暮らしてる侍もいんだよ!」
『そーそー。それに比べれば君の不幸なんてちっぽけなものなんだよ』
「お前らのせいだろォォ!!」



「あら、新ちゃん?」



「げっ!姉上!!」
「『あ…どーも』」

原チャリを止めて話しているとスーパーから出て来た女の人が男の子に声をかけた、かと思えば突然形相が変わった。

「仕事もせんと何プラプラしとんじゃワレボケェ!」
「ぐふゥ!」

お姉さんだというその人は男の子を思い切り殴りつけた。(こ、怖…!)私がその光景を引き気味に見ていると銀ちゃんが小声で行くぞ、と原チャリを動かした。


「ま、待って姉上!こんな事になったのはあいつらのせいで…あー!待てオイ!」
「わりぃ、俺夕方からドラマの再放送見たいから」
『私、そろそろお店手伝う時間だから』

ははは、と苦笑いしながらパッと後ろを振り返ると私の乗る荷台を掴みながら追い掛けてくるお姉さんの笑顔が目に入った。

「逃がさねーぞ」





私たちは男の子、否、新八くんとお姉さん、否、お妙さんの家まで連れて来られた。どうやらお妙さんは女の子に優しく、殴られたのは銀ちゃんだけだった。

「今まで二人で頑張ってきたのに…お前のせいで全部パーじゃボケェ!切腹しろ!」
『そうだそうだ!』
「ちょ、何で俺だけ!?なまえもなに一緒になって殴ってんの!?待て待て!切腹はできねーが俺だって尻ぐらい持つって!」

銀ちゃんは殴られながら必死に名刺を取り出しお妙さんに渡した。

「…なにコレ?万事屋、坂田銀時?」
『銀ちゃん万事屋やってるんだよ。私は違うけどね』
「この俺、万事屋銀さんがなんか困った事があったら何でも解決してやっ」
「だーからお前に困らされてんだろが!」
「仕事紹介しろ仕事!」

格好よく決めようとした銀ちゃんだったが再びお妙さんと新八くんも加わって殴られていた。






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