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すると電話がかかってきた。私はそれをとると電話の相手は新八くんだった。
『銀ちゃーん、新八くんから電話』
「なによ」
『なんかおじいさんヤバイって。ヤバイってなに?爆発でもすんの?』
「「……」」
私の言葉に銀ちゃんと神楽ちゃんは顔色を変えてお登勢さんに何かを差し出した。なんだ、とよく見れば綺麗なかんざし。お登勢さんは「なんだィ、コレ」と鬱陶しそうに銀ちゃんを見たが銀ちゃんは急かすようにお登勢さんと私を定春と呼ばれた犬に乗せた。
そして向かった先は病院だった。入口から入るのかと思いきやどっかの病室の窓へと突っ込んだ。(し、死ぬよコレぇぇ!)
何とか死なずにすんだ、と部屋を見渡せば新八くんとベッドには知らないおじいさんが寝ていた。
「連れて来てやったぞ」
銀ちゃんはそう言うとお登勢さんをおじいさんの前まで連れてきた。
「かんざしは返したからな…見えるかジーさん」
何だか状況が飲み込めないが何となくわかった。このおじいさんがお登勢さん、綾乃さんを探していたんだろう。(銀ちゃんたち、たまには粋なことするんだ)
「…綾乃さん。やっぱ…かんざしよく似合うなァ」
おじいさんは涙を浮かべて笑い、間もなくして息を引き取った。よく知らないおじいさんだが、やはり人の死には、目の奥が熱くなった。(片岡さんの死に目に会えなかったのが、悔しいよ)