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『で、銀ちゃんは?』
私も新八くんたちの隣で橋の下を覗いたが肝心の銀ちゃんがいない。
「銀さんなら厠だって…」
『呑気だなァ』
「でも、よけいなウソつかなきゃよかったわ。なんだかかえって大変な状況になってる気が…。それにあの人、多分強い…。決闘を前にあの落ち着きぶりは何度も死線をくぐり抜けてきた証拠よ」
(へェー…確かに、ただ者ではなさそうだ)私は橋に肘をつきながらストーカーの男を眺めていた。すると銀ちゃんがやっと現れた。
「遅いぞ!大の方か!!」
「ヒーローが大なんてするわけねーだろ。糖の方だ」
「糖尿に侵されたヒーローなんて聞いた事ねーよ!…得物はどーする?真剣が使いたければ貸すぞ」
男の言葉に銀ちゃんは腰に差してある木刀に触れた。
「俺ァコイツで充分だ」
「なめてるのか貴様」
「ワリーが人の人生賭けて勝負できる程大層な人間じゃないんでね。代わりと言っちゃ何だが、俺の命を賭けよう」