３



「アナタたち、ライブ中にフラフラ歩かないで下さい。他のお客様の御迷惑になります」



私と銀ちゃんが新八くんと話していると会場の中にいた女の人が私たちに向かって注意した。

「スンマセンマネージャーさん。締め出しとくんで」
「『やってみろやコラ』」
「ああ、親衛隊の方？お願いするわ。今日はあの娘の初ライブなんだから。必ず成功させなくては…」
「Ｌ・Ｏ・Ｖ・Ｅお・つ・う！」
「！」

マネージャーさんの言葉に被って脱獄犯の男の声が聞こえてきた。するとマネージャーさんは驚いて「アナタ…？」と呟いた。









どうやらマネージャーさんと脱獄犯は夫婦らしい。ライブ会場から出て二人が話しているのを銀ちゃんと少し遠くから聞いていた。

「消えてちょうだい。そして二度と私たちの前に現れないで。あの娘に嫌なこと思い出させないでちょうだい。父親が人殺しなんて」



マネージャーさんがその場を立ち去り、私たちは脱獄犯の横へと座った。銀ちゃんはガムを差し出した。

「んなガキみてーなもん食えるか」
「人生楽しく生きるコツは童心を忘れねー事だよ」
『銀ちゃんはもう少し大人な心があってほしいけどね、私にもガムちょうだい』

「まァ娘の晴れ舞台見るために脱獄なんざ、ガキみてーなバカじゃないとできねーか？」
「…そんなんじゃねェバカヤロー。昔、約束しちまったんだよ」
『約束？』