Rocky and Funny!! | ナノ






「おのれェェ!どこへ行った!?」
「お前はあっちを探せ!!」



「オイ、行ったぞ」



あれからどこかへ身を隠そうと、思考を働かせていると、道の少し先に見覚えのある男前を視界に捉えた。(男前と言えばね。あの人しかいないよね)

私達は顔を見合わせると、すぐさま桂さんの元へと駆け寄り何かいい手は無いかと尋ねた。そして、見張り番といったように桂さんが追っ手の様子を伺い、通り過ぎていくのを確認すると言葉を発した。

「……行ったと言っている」

良かった、とゆっくりと桂さんの後ろの路地を塞ぐ木の板を上り顔を覗かせると何故か桂さんがみかんの空き缶と見つめ合っている。

「行ったと言ってるだろうがァァ!!」
「んなトコ隠れられるかァァ!!」
「あっなんだ、結局そっちに隠れたのか」
「結局もクソもハナからそんな所に隠れられるワケねーだろ。バカかお前」
「バカじゃない桂だ!」
『(会う度にバカになっている気がする)』


追っ手から逃れらた事に一先ず息をつくと、私達は追っ手が行ったであろう道へと顔を向けた。

「銀時、アレは恐らく攘夷浪士だ。廃刀令のご時世に堂々と帯刀する者など幕府に与する者か、それに仇なす者の他におるまい」

桂さんは追っ手の身なりから、追っ手が攘夷浪士か何かだと推測する。

「それに貴様、連中が橋田屋の名を口にしていたと言っていたな」
「ああ」
『もしかして桂さん、知ってるんですか?』

私達が桂さんへと目を向けると、桂さんは遠くに見えるビルを指差した。

「あそこに見える巨大ビルがそうだ。徳川幕府開闢より続く老舗。元は小さな呉服問屋だったが、時代に応じた柔軟な発想で変化発展を繰り返し、今では江戸でも屈指の巨大企業となっている」

そして、その現当主である橋田賀兵衛は、裏で攘夷浪士達のパトロンのような、テロ活動を援助し、その代わりに浪士達を闇で動かし商いに利用しているらしい。(ホント、世の中腐ったものばっかりだ)

「…で、なんでそんなエライ奴の孫が俺の所に?」
「さては貴様アレだな。賀兵衛の娘とチョメチョメ…如何わしい奴だ」
『やっぱそう思いますよねェ』
「なまえ殿、早い所コイツとは手を切った方が良い。なんなら俺と攘夷活動でも」
『えっ…(攘夷活動はアレだけど桂さんに誘われるのなら考えモノだな〜)』
「だから違うって言ってんだろ!何?チョメチョメって!お前古ーんだよ!センスが古い!なまえもまんざらそうな顔で考えてんじゃねーよ!コイツバカな上にセンスもないんだよ!?」

銀ちゃんがいい加減目を覚ませと私を説得している間に、桂さんが銀ちゃんの腕から赤ん坊を抱きかかえじっと見つめた。(桂さんと赤ん坊…イクメンもいいな)

「しかし、このふてぶてしさはどう見てもお前とそっくりだぞ」
『やっぱそう思いますよねェ』
「それに何だ。赤子は泣くのが仕事だというのに。職務放棄か貴様ァァ!!アッハッハッハッハー」
「どんなあやし方!?」
『(…イクメンは無理か)』

真顔で赤ん坊をあやしているのかあやしてないのか、見当もつかない桂さんに私は小さくため息をついた。



「ったく、泣かれたって冗談じゃねーよ。こんな事に巻き込まれておまけに四六時中泣き喚かれてみろ。ホントッ川にブン投げるところだぜ」

銀ちゃんはそう言いながら桂さんから赤ん坊を取り返すと高く上げ眺めてみる。

『そう言えば、私達の所に来てから一切泣いてないね。珍しい』
「だぷん」
「おう、そうだ。男はなァ、パーマが失敗した時以外泣いちゃいけねーよ。お前はその辺見込みあるぞ。新八よりある」
『パーマ失敗したくらいで泣かないでよ。でも確かに新八くんよりは見込みある』
「オイ、銀時。下下」


「『ん?』」


ふいに、桂さんが銀ちゃんを呼ぶと、私達は一斉に顔を下へと向けた。すると、赤ん坊がビチャビチャ、と銀ちゃんの足へとお漏らしをしていた。

「上は大丈夫だが、下は泣き虫らしい」
『わー桂さんうまーい(棒読み)』





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