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「やれェェェ!!」
その瞬間、男達は一斉に私達へと襲いかかってきた。私達はあたふたとするや否や、銀ちゃんが赤ん坊の服を乱暴に掴み上げた。
「だーから知らねーって言ってんだろーが!オラ!!返すぜこんなガキ!!」
『あ!ちょっと銀ちゃん!?』
そして勢いよく宙へと放り投げた。(銀ちゃんの考えてる事は大方わかってるけども、流石に乱暴すぎる!!)
「!!」
「あの野郎!何てマネを!!」
「拾え拾えー!!」
「いくぞ、なまえ」
『もう…。了解』
フッ
「!オイ!」
「!?」
ドカァッ!
男達は宙に舞う赤ん坊を一斉に見上げた。その刹那、私と銀ちゃんは同時に屈むと、木刀を一瞬にして抜き取り、男達を切り抜けるように華麗な一撃をお見舞いした。そしてそのまま落ちてくる赤ん坊をキャッチしようと走り抜けた瞬間、目の前から刀から降りかかってきた。
ガキィンッ…!
『銀ちゃん!』
「ッ何だてめェ…」
「面白い喧嘩をする奴らだな。護る戦いに慣れているのかィ?」
「お前らのような物騒な連中に子育ては無理だ。どけ。ミルクの時間だ」
『早くしないと大声で泣いちゃうかも』
銀ちゃんは間一髪のところ、振り下ろされた刀を木刀で受け止め、尚且つ片腕で赤ん坊をキャッチした。それと同時に、襲ってきた男のもう片方の手が赤ん坊へと伸ばされていたが、それを私が木刀で制していた。
「ククク…イイ…イイよ。アンタら」
すると男は笑いを零す。
「獣の匂い…隠しきれない獣の匂いがするよ。あの人と同じ…」
「『!……』」
スッと刀と手を下ろした男に、私達は次の攻撃を警戒した。
スッ
「こんな所で闘り合うには惜しいやねェ、行きな」
「『!』」
だが、男は刀を下ろすとすんなり道を開けた。私と銀ちゃんは顔を見合わせ、すぐに前へ向き直ると急いでその場から走り出した。
「岡田ァァ!」
「貴様何をやっているかァァ!」
「追えェェ!」
「逃すなァァ!!」
そんな遣り取りを他の追っ手が見るや否や大声を張り上げていたが、既に私達からは遠い声だった。(岡田…"あの人"って一体…?)私は銀ちゃんの逃げる背中を追いかけながら後ろを振り向くと、岡田という男を見つめた。