Rocky and Funny!! | ナノ






「メガネと白髪みーっけ。缶踏んだ」



最後まで足掻き切った二人だったが、残念ながら捕まってしまった。残るは私と神楽ちゃん。神楽ちゃんは一体どこにいるのだろうか、とキョロキョロと辺りを見渡せば、見慣れた傘が建物の陰から少し見えていた。(あ、見つかっちゃう)私は神楽ちゃんに言おうと建物から降りて近くへと向かっていくと、既におじいさんが神楽ちゃんの側へと来ていた。そして、駆けつけた私もおじいさんへロックオンされてしまった。


「お?嬢ちゃんから出て来てくれるなんてな。神楽ちゃんと嬢ちゃんみーっけ」
「『……』」




私と神楽ちゃんは顔を見合わせるとニッと笑った。
そして、勢いよく缶まで走り出した。




『神楽ちゃん!おじいさん阻止して!』
「アイアイサー!」
「フンッ!何度やっても無駄じゃ!」

走りながらも神楽ちゃんが傘をおじいさん目掛けてぶっ放すが、やはりおじいさんは杖で上手にそれを避けると再び走り出し私達へと迫ってくる。

缶はすぐそこにある。
既に汗だくで走る私達は最後の力を振り絞りグッと足に力を込めて飛び上がった。




「『いけェェェェ!!!』」




カーンッ!!!








「アンタ達、起きな」
「ソンナトコロデ寝テルト干カラビテ野タレ死ニマスヨ」


「ん…」
『…アレ?』
「ジジイは…?」


あれから、私達は眠ってしまっていたらしい。私達は一斉に体を起こすと空き地を見回したが、おじいさんはいなくなっていた。(…夢だったとか?)脳裏にそんな事が過ぎったが、最後に私と神楽ちゃんで蹴り飛ばした缶が転がっており、夢ではなかったと知らされる。

「あのじーさんならもういなかったよ」
「サァ早ク焼肉行キマスヨ」
「…そーだな」
「ホントお腹ぺこぺこ」
「ホラ、なまえ行くアル」



『…うん、そうだね』



何だかとても不思議な気持ちだった。それはきっと皆も同じだったのだろう、私達は暫く空き地を見つめると、焼肉屋へと足を向かわせた。(何だか変なおじいさんだったけど、楽しかったな)缶を蹴り飛ばし、最後に笑ったおじいさんの笑顔が何故か焼き付いて、同じ事を考えていたであろう神楽ちゃんと顔を見合わせると、ニッと笑った。





×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -