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繰り広げられる光景はもはや明らかに缶蹴りではなくなっていた。ガガガガッとぶっ放された弾は、おじいさんへと物凄いスピードで向かっていく。
「よっはっほっ!」
だが、おじいさんはそれに気付いていたのか、軽く飛び上がると手に持っていた杖でバランスを取り、尚且つ缶に弾が当たらぬようにそれを防いでみせた。
「杖で缶を!」
「なんだ?あの身のこなし」
『ていうか今ので場所バレたんじゃ』
「ていうか缶蹴り続行する気?」
私が話していれば、案の定おじいさんはこちらへと顔を向け、ニヤリと笑った。
「みーつけた!!そこじゃァァ!!」
シャッ!!
「い゛っ!!!」
『クナイ!?』
「うおおお!!」
「なっ…何者だあのジジイ!?」
私達は投げられたクナイを必死に避けきるとニヤニヤと笑うおじいさんを見遣った。
「オイ!バラけるぞ!何が何でもあのジジイから缶を蹴り飛ばす!!」
「「『アイアイサー!!』」」
先程とは状況が変わり、新八くんも私達と同じように返事をすると私達は一斉にバラバラの方向へと散らばり始めた。
「ぬおおおお!!」
遠くで新八くんの叫び声が聞こえる。見つかったか、とすぐ近くの建物の屋根に飛び乗り、空き地を見渡せば案の定、新八くんおじいさんに見つかってしまっていた。だが、新八くんはニヤリと笑った。
「作戦にハマりましたね」
「缶蹴りで一人の獲物を深追いするなんて愚の骨頂」
「!!」
どうやら、新八くんと銀ちゃんは予め作戦を立てていたらしく、ドラム缶に隠れていた銀ちゃんは一気に飛び出した。
「もらっ…ん?」
その瞬間、ドラム缶はバランスを崩し、途中まで出かかっていた銀ちゃんは目の前のコンクリートの壁に頭をぶつけ勢いよく下へとずり下がっていった。
「ギャアアアアア!!頭けずれたァァ!頭おろしちまったァァ!!」
「ギャハハハハ!バーカ!白髪もみーっけ!」
『全く…何やってんだか』
私はそんな光景を見てため息をつきながらも、どこか笑みをこぼしていた。