4
「ハァー。さっさと終わらせとくれよ」
『ちょっと!キャサリン、あんたが遊んでやるって言ったくせになんで不参加なの!』
「カ弱イアタシガ相手デキル訳ナイヨ」
『お前後でフルボッコだかんな』
キャサリンの蹴った缶をものの数秒で元の位置へと持ってきたおじいさんに、私達は仕方なく缶蹴りをせざるを得なくなった。おじいさんは年甲斐もなく何だか楽しそうにピョンピョンと跳ねている。(ていうか、神楽ちゃんと缶蹴りなんて身体的に大丈夫かなー)
「ムッフッフッフッ堪らんぞ、この緊張感。まるでガキの頃に戻ったようじゃ。準備は出来たかーい!良い子のみんな!じじい!いっきまーす!!」
「何処へだ?あの世にか」
おじいさんの言葉と共に缶蹴りが始まった。私達は空き地の隅にあるドラム缶の向こうでおじいさんの動きを見ていた。
「ったく、なんであんな見ず知らずのジジイに付き合わなきゃならねーんだ」
「焼肉食べに来たのに。もう僕お腹ペコペコなんでおじいちゃんには悪いけど適当に捕まって早く切り上げません?」
「ふざけるなァァ!!何の努力もせずに自ら負けを選ぶとは貴様それでも軍人か!貴様のような奴を総じて負け犬と言うんだ!!軍曹!この負け犬を軍法会議に!!」
「でかい声で鳴くなチワワ」
パンッ!
『まーでも神楽ちゃんの言う通り』
「なんであれやるからには負けるつもりはねェ」
「焼肉も負けて食うより勝って食う方がうまいであります。軍曹」
「その通りだ。チワワ一等兵」
私達は先程とは打って変わり、少し闘争心を燃やしながらおじいさんへと目を移した。
「缶蹴りなんざ所詮ガキの遊びよ。鬼に見つかる前にあの缶を倒せば勝ち。要は見つからずにあの缶を倒す方法を見つければいい。いいか?そーいう事で、発射用意」
「『あいあいさー』」
スチャッ
銀ちゃんの合図と共に私達は良い感じの大きさの石を手に取り構えた。
「それは缶蹴りと言うんですか軍曹ォォ!」