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キャサリンは思い切り缶を蹴り上げ、20秒以内に拾ってこれたら相手してやる、とおじいさんへ向かって言葉を吐いた。
『ちょっと酷すぎでしょキャサリン!』
「ワルッ!ワルだよ!!」
「キャサリンてめー年寄り虐めてんじゃねーヨ!」
『オ黙リ。アタイハタンパク質ガトリタクテウズウズシテンダ」
キャサリンの言うように私だって早く焼肉を食べに行きたいがアレは流石に可哀想だ。
「サァ!ババアノ気ガ変ワラナイウチニイクヨ!」
「お前は帰って店番な。年寄りを労われない奴が年寄りに優しくしてもらえると思うなよ」
「ナニ言ッテンスカ。オ登勢サンハ年寄リナンカジャナイッスヨー。マダマダピチピチヨ」
『さっきババアって言ったくせに。…何か急におじいさんが可哀想になって…』
少しおじいさんに後ろめたさを感じながらも、私達は空き地を後に歩き出した。ちら、と空き地にいたおじいさんを見遣る。(…アレ?)すると、今の今までそこにいたおじいさんがいなくなっていた。
ガッ
「よーし!缶拾ってきたぜー!缶蹴り開始ィ!!」
と思いきや、またすぐさま現れるとキャサリンに吹っ飛ばされたはずの缶を足で踏んでいた。
(え、マジで?)