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スナックお登勢には、お登勢さんと私の他に、キャサリンが増え以前にも増して店は賑わいを見せていた。当然、その分の売上も反映される訳で。
「なまえとキャサリンが頑張ってくれているお陰で店も大分繁盛しているよ。ありがとうね」
そんな収穫にお登勢さんは嬉しそうに笑っている事が、私にはそれだけで充分に幸せだ。きっとそこはキャサリンも同じ気持ちなのだろう。
「よし、今日は店開ける前にご飯でも食べに行こうかね」
『えっいいの!?』
「私焼肉ガ食ベタイデス」
『ちょっとキャサリン、そんな高価なもの…!』
「いいじゃないかィ。たまには豪勢に行こうじゃないか。なまえ、どうせアイツらも腹空かせてるだろうから誘ってきてやんな」
『!』
お登勢さんはやたらと上機嫌に上の階を指差した。
「…え、本当ですか!?」
「オイオイ、どういう風に吹き回しだ?まさか俺達騙して外連れ出してどっかに売るってのか?」
『そんな訳ないでしょ』
私が二階へと上がり銀ちゃん達へご飯のお誘いだと話すと、予想通りの反応が返ってきた。
『ん?ところで神楽ちゃんは?』
「友達と遊びに行ってるんですよ」
「どうせ外で暴れ回ってんじゃねーか?」
『そうなんだ。どうしよう?』
皆でご飯を食べるなんて初めての事で内心私はとても楽しみにしていた。神楽ちゃんにも美味しい物食べさせてあげたいし、と考えていると下からお登勢さんが私を呼ぶ声が聞こえた。
「オイオイ、もう諦めて俺達だけで食べようぜ。アイツには焼き海苔くらいでも土産に持って帰れば大丈夫だって」
「それは流石に可哀想でしょ」
あれからお登勢さんに神楽ちゃんをいない事を伝えると、とりあえず神楽ちゃんが行きそうな場所などを当たりながらお店へ向かう事にした。
「缶蹴り如きでムキになりやがって!」
「お前なんかもう遊んでやんねーからな!バーカバーカ!!」
『ん?』