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「!むっ無理無理!あんな速い球!!」
「いーから受け止めるネ!!」
「!ぶふォォ!!」
私が打ったボールは阿音さんへと一直線に向かっていった。阿音さんは、思わぬ速さにあたふたとしていたが、後ろから神楽ちゃんがそれを抑え、阿音さんにボールを受け止めさせた。
すると、その瞬間ボールの軌跡で描かれた五芒星淡く光り始めた。
『!定春っ…!』
定春は新八くんに襲い掛かろうとした寸前、ふいに動きを止めて上を見上げた。
そして、元の姿、元の大きさへと戻ると眠るようにしてその場へと倒れ込んだ。
「っ定春ぅぅぅ!!!」
それを見た神楽ちゃんは一目散に定春の元へと向かい、涙を流しながら勢いよく抱きついた。私はそんな神楽ちゃんを見ながら溢れそうな涙を抑えていた。
「あーあ。あんなに泣いちゃって」
「……本当に家族なのですね」
私と同様に神楽ちゃん達を見ていた阿音さんと百音さんは一件落着だと言うように微笑むとふう、と息をついた。
「でも、それも今日で終わりよ。あんなものを見てそれでも今まで通りあの子と一緒に暮らしていけると思ってるの?」
「姉上…私達に今更何か言う資格があると?」
「わかってるわよ。私もそこまで図々しい女じゃないっつーの」
阿音さんはそう言うと私達を見遣った。
「…アンタらの好きにしなさいよ。いらないっつーなら、連れて帰るし。心配しなくてももう捨てるなんてしないし。キャバクラでけっこー稼いでんのよ、今は。ワハハ」
『きゃ、キャバクラ…(巫女のくせに)』
「……」
『…銀ちゃん?』
阿音さんにそう言われた銀ちゃんは少し黙っていた。私としては銀ちゃんの今の気持ちを読み取る事はとても容易い事だと、思わず笑ってしまう。
「…アホらし。今更イチイチそんな事聞くんじゃねーよ。んなもん、決まってるだろーが。定春は…」
プチン。