Rocky and Funny!! | ナノ


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「てめーらァ!!この非常時に何合コンみてーな事やってんだァァ!!」
「ポッキーかァ!!ポッキーをあの両端から食べるアレかァァ!!」
「「ピーピー!」」
『銀ちゃんドサクサに紛れて何してんの!?心配して損したんだけど!心配を返せェ!!』
「「ピッ…ピピーッ!!」」

私達が見下ろした先には、先程巫女の女達が持っていた笛を両端にくわえて音を鳴らす二人。新八くんの言葉通り、この非常事態に一体何をふざけているんだ、と私達は全力で二人に蹴りを食らわす。



「「ピッピッピッピッピッピー!!」」



すると必死で何かを話すように、二人が笛を鳴らし始めた。それが何だか様子がおかしい事に私は気がついた。

「なによ!?なにが言いたいの!?」
『…まさか銀ちゃん、その笛外れないの?』
「「ピ〜」」
「どっちのピ〜よ、それは。「はい」か「いいえ」か?」
「「ピ〜」」
「だからどっちだって言ってんだろーが!!」

十中八九外れないのだろう二人がピーとしか鳴らせない事に質疑応答していた方の巫女が耐え兼ねたのか、二人のくわえる笛をガッと手に取ると力任せにグイグイッと引っ張り出す。

「ふざけんじゃないわよ!その笛がないと狗神を元に戻す呪法も使えないのよ!!」
「「ピーッ…ピッピッピッ!!」」
「阿音さん!「痛い痛い!」って言ってるピーですよこれは多分!」
「違うわよ!コレ「もーちょいもーちょい」のピーよ!ねっ百音!?」

笛を取ろうと力一杯の巫女もとい、阿音さんに新八くんは止めようとするが、阿音は止める事なく笛を引っ張り続ける。

「「ピーヒョロピッ」」
「誰がアバズレだァァ!!」

パンッ!!

「通じてんじゃないすかァ!」
「ピンときたのよピンと!悪口には敏感なのよ!」

銀ちゃんと笛をくわえた方の巫女もとい、百音さんが吹いた音に何故か悪口だとすぐさま読み取った阿音さんが百音さんを勢いよく殴った。(っていうか)私は結局一体この人達はなんなんだ、と疑問が更に深まっていた。


その時、ふと背後に嫌な気配を感じた。


『!やばい!』
「えっ…ぎゃああああ!!」
「出たァァァァ!!」


気配を感じ取った私がくるり、と顔だけ後ろへふり向かせれば、そこには口を大きく開けた定春がいた。私と新八くんと阿音さんはそれを見た瞬間に、全速力でその場から逃げ去る。そんな中、ふと笛をくわえていた銀ちゃんと百音さんを思い出した。

『アレ!?銀ちゃん達は!?』
「あっ!忘れてきた!!」
「百音!!」

あの状態ではとても逃げれない。私達は走りながらも二人がいる場所へと振り返った。

「うおおお!逃げてる!!」
「気持ちワル!なんか別の生き物!?」

何と二人は結託したかのように、笛をくわえたまま全力で定春から逃げてきていた。だが、どうやらあの状態では酸素を上手く取り入れる事が出来ないらしく、二人はとてつもなく息苦しそうにしながら走り続けている。そして、耐え切れず吐きそうになる銀ちゃんを百音さんは百烈パンチならぬ攻撃を繰り出していた。

「オイオイ!喧嘩してる場合じゃねーよ!」





「おーい。歯ァくいしばれ」





その時、銀ちゃん達の頭上から声がした。


「わたァァァァ!!」


バキッ!!

そして、神楽ちゃんが飛び降りてきたかと思えば勢いよくかかとを笛目掛けて振り下ろした。





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