Rocky and Funny!! | ナノ






『…はあ。どうなるかと思った』

二日酔いで暫く状況が出来ていなかった銀ちゃんの頭を無理矢理動かしてやれば、ようやくして私が着れる服といちご牛乳を持って応接間へと戻ってきた。神楽ちゃんは銀ちゃんの持ついちご牛乳を見るや否や奪い取り、未だ暴れだしそうな定春に差し出すと大人しく飲み始めた。

「定春はいちご牛乳が好物ヨ。飲んだら大人しくなるネ。身体は大きくなったけど性格は変わってないネ。さっきもじゃれてただけアル」
「じゃれてただけみたいって…あの大きさでじゃれられたらこっちとしては命取りなんだよね」
『ホント…』
「俺としてはなまえの裸が見れるなんて願ってもみねー奇跡だったよ」




ゴシャッ!!




「…なんなんでしょ。一体なんでこんな事に…」
「…成長期じゃねーの?元々あのデカさだ。これ位になるだろ」
『でも昨日まではあのサイズだったのに一夜でこんなに大きくなるもの?』
「神楽と新八が無闇にカルシウムなんか取らせるからこんなデカくなんだよ。カルシウムなめんなよ。カルシウムさえ取っときゃ全て上手くいくんだよ」
『アンタ全然上手くいってないじゃん』
「そうですよね。それよりどうしましょ。これじゃ象飼ってるようなもんですよ。エサ代が…」
「オイ、今お前らさらっと俺の事バカにしただろ」
「エサ代なんて元々バカになってなかったアルヨ。万が億になろうが億が兆になろうが一緒ネ」
「一緒じゃねーよ!一兆は一億がなんぼあると思ってんだテメーは!!アレ?何個だっけ新八くん」
『…はあ』

なんてバカな会話をしているんだ、と私はため息をつくと『とにかく』と話を切り替えた。

『このままじゃ飼っていく事すら難しいんじゃないの?只でさえ家賃滞納して自分達の食費すら危ういってのに』
「それは確かに…でも捨てるのだって難しい」
「捨てるなんて選択肢ないネ!!お前ふざけるなヨ!!捨てるならお前の眼鏡一択ネ!!」
「誰も捨てようなんて言ってないだろ!つーか眼鏡を捨てる意味ねーだろ!スペース取ってねーんだから!!」
『ああーもう落ち着いて』

駄目だ。このままでは話が一向に進まない。言い合いを繰り広げる神楽ちゃんと新八くんにどうしようかと悩んでいると銀ちゃんが「まあまあ」と二人を宥めるように間に割って入った。

「大丈夫だよ〜新八くーん、神楽ちゃん。こんな事もあろうかと…」

銀ちゃんはそう言って懐をガサゴソと探り、手に収まるサイズの何かを取り出した。



「たりららったら〜犬語翻訳機【わんじゃこりゃああ】」



そしてどこぞの世話焼きロボットの声真似をしながら手にしたそれを私達へと見せつけた。

「これさえあれば犬が何を喋っているかその鳴き声から割り出す事ができるんだ〜」
「銀さん!いつの間にそんな便利なアイテムを!」
「昨日飲み屋で隣の親父に枝豆と交換してもらったんだ〜」
『その似てなさすぎる声真似と相まって胡散くささ100%なんですけど』

「とにかく、こいつで定春がなんで巨大化したか探り出せば解決策が見つかるかもしれねー」
『そんなんで上手くいくのかなー』
「まァ見てなって。なァ定春?お前はどーしてそんなにデカくなったんだ」
「……」
「オイなんか言え」

ピシッ

「わぎゃァ!!」



ゲシッ!!

「ぶべら!!」



『……』

鳴かない定春を銀ちゃんが軽く叩けば、豪快な犬パンチを食らった銀ちゃんは盛大に吹っ飛んでいく。(これは翻訳機どうこうの以前に、飼い主と飼い犬のコミュニケーションの欠損が問題ではないだろうか)そんなやり取りを見遣れば私は深くため息をつく。その時、翻訳機がピピッと音を鳴らした為、私と新八くんと神楽ちゃんは翻訳機を覗き込んだ。


【いてーな。動物愛護団体に訴えるぞワン】
「合ってるっちゃあ合ってる」





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