Rocky and Funny!! | ナノ


2 銀時 side



昨日は飲み過ぎたみたいだ。屋台のおでん屋でマダオと飲んでいたところまでは覚えているのに、帰り道からの記憶が一切ない。目覚めたのは帰り道の途中にあるごみ捨て場。(まだアルコールが残ってやがる…)フラフラと重い体を動かして俺は家へと向かった。



ガララッ

「おーう、帰ったぞう」

家に着くと、既に新八が来ているらしい。(ん…なまえもいるのか?)玄関先には新八のものである草履と、なまえがよく家履きにしているサンダルが並んでいた。

「銀さんが帰ってきたよ〜っと。なまえちゃ〜ん、銀さんに会いたくて来たのかな〜?」

未だに思考がはっきりしないまま、靴を脱ぎ家へと上がろうとするが二日酔いで上手く歩けない。

「誰か〜いちご牛乳〜オエッ…いちご牛乳持ってき…うぷっ…オーイ起きてんだろ。いちご牛乳持ってこないと死ぬぞ俺。…オーイ聞いてんのか」

なまえがいるのであれば恐らく皆起きているはずだ。なのに返事がない。(あいつら何やってんだ?)

「…何だ?妙に静かだな。もしかして皆二度寝でも決め込んでんのか?まったく、怠け者どもが。とりあえず風呂沸かしてアルコール抜かねーとな……ん?」

いくら呼んでも誰も出てこない現状に仕方なく自力で廊下を這いずり、応接間の戸を開けた。すると、そこには非日常な光景が部屋一面に広がっていた。


定春がいつもより、デカく見える。その上新八と神楽を飲み込もうとしてやがる。そして、定春に破かれたのであろう、もはや原型を留めていない服で必死に素肌を隠しうずくまるなまえがいた。

「…やっぱ飲み過ぎたな。やたら定春がデカく見えやがるしなまえの服が破れてるなんてそんなおいしい状況は幻覚だ。…オイ、新八。そんな所に頭突っ込んでないでいちご牛乳持ってこい。神楽は風呂だ」

今見ているものは二日酔いのせいで見えている幻覚だろう。俺はズキズキと痛む頭を抑えながら現実に戻ろうと必死に目を瞑る。


「何寝ぼけた事言ってんすかァ!!この状況を見ろォ!!」
「定春が…定春が一夜にして巨大化したネ!!」
『銀ちゃんとりあえず服貸して!!アンタが夜通し飲み歩いたその服以外で!』
「待て待て。んな叫ばれたら響くから…」

大声を出される度に頭が痛む。


どうなってんだ。幻覚や夢ではないのか?俺は更に痛む頭を抑えながらゆっくりと顔をあげ、まじまじとなまえを見遣った。頬を赤らめて破れた服で白い素肌を必死に隠している姿が何とも愛らしい。今これが、幻覚でなく現実なのであれば。何とも有難い幸『何こっちじっと見てんだコルァァァ!!いいから服持ってこいィィ!!』



ドガゴッ!!



なまえに投げつけられた壊れた机は俺の顔に勢いよくクリーンヒットした。ようやくそこで俺は、これが幻覚でないと確信を得る事となった。





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