Rocky and Funny!! | ナノ


12



「ふう…何とか逃げて来れたネ」
「エリザベスは…確かここに入っていったはず」

私達はどうにか、(偶然が招いた)まきびしサークルで敵から逃れる事に成功し、エリザベスが連れて行かれた屋敷の入り口へとやってきた。エリザベスを救うべく、私達は屋敷の中へと足を踏み入れようとした。

「皆、ちょっと待って」
『どうしたの、さっちゃん?』

「妙だわ…追手が誰もこない」
「「『!』」」

その瞬間さっちゃんに呼び止められ、なんだと振り返れば、発せられた言葉に確かに、と私と新八くんと神楽ちゃんは顔を見合わせた。

「!まさか罠?」
「その可能性大だわ」
『じゃあとりあえず屋敷に入らない方が…』


「あー何寝ぼけた事言ってんだ。おけつに入らずんば虎児を得ずと言うだろ」
「虎穴だ。案ずる事はない。俺達を誰だと思っている。貴様らとはくぐってきた修羅場の数が違うんだ。くだらぬ罠などにはまるものか」
『ちょっと待ってよ二人とも。一旦落ち着いて考えた方がいいんじゃないの?』
「だーいじょうぶだって」

罠にかかる訳がない、と銀ちゃんと桂さんはズカズカと屋敷の中へと入っていく。私達は二人を止めようと屋敷の玄関をくぐった時、頭上から何やら物音が聞こえてきた。


ガシャァンッ!


「ああああああ!」
『…やっぱり』

なんの音だ、と上を見上げる隙もなく、音は私達の目の前まで落ちてきた。大きな黒い鉄格子が私達が入ってきた入り口を塞ぐようにして降りてきたのだ。

「おいィィィ!!おもっくそ罠じゃないすか!!閉じ込められちゃった!」
「バカ、ちげーよ。オートロックなんだよ。知らねーの?お前」
「何度も言わせるな。俺達がそんなバカな策にハマる訳があるまい」

(こいつら…意地でも罠にかかったと信じたくないのか)現実に目を背けるように二人が談笑しながら奥へと進んでいく。私達ももう後には戻れまいと二人の後をついていっていると壁に掛けてあった掛軸が自動的に巻かれ、下からテレビが現れた。そしてテレビの画面に映ったのは遠山珍太郎であろう男。その男は高笑いを発すると、話をし始めた。

やはり、私達は罠にかかってしまったらしい。男が何度も「罠にかかった」というワードを連発していたが、何故かそれを一切認めようとしない銀ちゃんと桂さんは、次々に沸いて出てくるテレビを叩き割っていく。全てのテレビを叩き終え奥へ進むや否や、予め準備されていた罠が次々に私達へと襲い掛かってきていた。だが、それさえも罠では無い、と断固認めない銀ちゃんと桂さんが先陣を切って罠を対処していく。

「…どうする?あの二人」
『まァ、勝手に罠対処くれるんなら楽だし』
「放っとくアル」
「そうね…」

そんな二人を後ろで眺めつつ、私達はのんびり後をついていく。




「銀時…これしきの物は断じて罠とは言わんな」
「あたりめーだ。俺達は罠にかかる程アホじゃねーぞ。これはアレだ…」


「「いたずらだァァ!!」」


奥へと進むごとに屋敷内の罠が次々と作動し、二人へと襲いかかる。だが二人は未だ罠ではなく、最早いたずらだと言い張り罠を交わし先へと進んでいく。

「大人は子供のいたずらに付き合ってやる義務がある!なァ銀時!」
『(いや仕掛けてるのあのおじさんじゃね?)』
「おおよ!わざとだから!コレわざと引っかかってやってるワケだから!」
「その通りだ!」
「頭を使って考えたいたずらが成功する事によって味をしめた子供達は頭を使う事が好きになる!結果、発想力及び応用力に長けた子供が出来上がるわけだ!なァ銀時!」
「そうだ!俺達のように罠になんてかからない大人になる訳だ!立派な大人になる訳だ!」
『(だから仕掛けてるの子供じゃないって。あのおじさんだって)』



二人は一通りの罠をくぐり抜けると息をついた。(認めるのが維持でも嫌だとしても、その根性が凄いわ)私達はそれを見て心の中で何かを思いながらも拍手をした。

「フン」
「ちょろいも…」

拍手を浴びた二人が油断してその場を歩みだそうとした瞬間、頭上から重りのような物が降ってきた。



ガゴンッ!



「まったく…!」
「かわいいいたずらだぜ」

二人は重りを体で受け止めた。ミシミシと音を立てながらも余裕があるといった笑みを浮かべながらそう言葉を発した。


「ホント…」
『かわいい人達だね』





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