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あれから夜も更け、私達は大きな屋敷へと来ていた。屋根の上に登り、暫く屋敷の中の様子を見ていると次第に人の気配が薄れ始めるのを待った。そして誰もいなくなった今、私達はついに立ち上がった。
「よし、行くか」
「忍者戦隊ロクニンジャー」
「参る」
『あの、もうこの話自体不参加でお願いします』
「何言ってるアルか、なまえ!」
『いやだってダサいよ。ダサすぎるよ』
「しょーがねーだろ。よしわかった。新八抜いてゴニンジャーでいこう。それでいいだろ」
『いや別に6人だから悪いとかそういうんじゃないよ。全てがダサいんだよ。もう手遅れなんだよ』
「シッ!!」
ああもう恥ずかしすぎて帰りたい。私がそんな風にだれているとさっちゃんが口元に指を当て黙るように指示をする。
何だかんだで私達はすぐに黙り込むと、奥から見回りの男達がやってくるのが見えた。何か話し込みながら屋敷内を歩いてくるのを確認すると私達は無言で顔を見合わせ、合図する。初めに動き出した銀ちゃんはどこからか取り出した月の被り物を被り、男へと向かい屋根から飛び降りた。(待って。何でそんなモン用意してたの?)
ドカッ
「ぎゃああああ!!」
そして何故か月にいぼ痔を治してほしいと願いを込めて男が向けていた尻目掛けて見事に蹴りをかますと男は大声をあげ、地面へと倒れこんだ。
「…ワリーな。痔は医者に治してもらえや」
【ニンジャーホワイト/忍法「隠れ身の術」】
「おい、何を騒いで…あっ貴様!!」
そこに、騒ぎを聞きつけた男達がこちらへと向かってくるや否や、銀ちゃんに気付いてしまった。
「くっくせ者!!」
一人の男が声をあげると同時に、手に持っていた提灯が割れ、辺りは暗くなる。
「ぬっ!灯りが!?」
「しまった!何も見えんぞ!!」
「アラ、それは大変。眼鏡をかけなくちゃ」
【ニンジャーメガネ/忍法「眼鏡がないと明日も見えない」】
急な暗闇に焦る男達の背後に瞬時に回り込んださっちゃんは何故か納豆でネバネバになった眼鏡を男達へとかけた。(なんで納豆?)
「うわっくさっ!!何コレ何コレ!」
「納豆!?くさっ!!とれねーぞ!ボンドかコレ!?」
突然の出来事と異臭にギャーギャーと男達が騒ぐ背後にまたもや背後に回る者が一人。
「うおォ!いやだァァ!!」
「ひょっとして一生このままなの!?絶対嫌!!」
眼鏡がとれない事により、何故かそんな不安を感じ男達はまたギャーギャーと騒いでいる。そして男達と一緒に騒ぐ男が一人。
「「…アレ。誰?君」」
ドシャッ!!
ふと、男達が背後の男に気付き、振り抜いた瞬間、背後にいた新八くんは一気に木刀を腰から抜き取り振り下ろした。
【ニンジャーホルスタイン/忍法「とりあえずホルスタインにしたけどやっぱ地味」】